きゅう

 大人しくお座りをして遊んでいた太宰がつまらなそうにおもちゃを放り投げていた。あーうーと唸る子供。ぺいぺいと投げる。おもちゃを投げるな。こらとは言ってみるもののあまり強くはなく可愛いなとその眉を下げていた。
 太宰が放り投げたおもちゃを拾う。最近の太宰はおもちゃで遊んでいたと思えば、飽きて放り出すので、跳ねたおもちゃが万が一にも太宰に当たらないよう柔らかなものに変えていた。
 そのおかげかほんわり跳ねる。太宰はおもちゃを投げることにも飽きたのかきょろきょろとあたりを見ると机の上に手を伸ばしていた。
 最近は机に手を伸ばすことも多い。それから縁を掴んでいた。太宰の手がぎゅうーと机の縁を掴んでいた。太宰の姿を見守っているとふっとその腰が持ち上がっていることに気付く。
 小さな腰が持ち上がって足が地面についている。このまま行けばついにつかまり立ちができそうであった。
 まさかと太宰をじっと見守る。頑張れ。と応援すると太宰の目と目があった。小さな腕から力が抜けてぼてっと後ろに倒れていく。あーーと太宰が笑い手を伸ばしてくる。
 福沢は少し残念な気持ちになりながらもまあいいかと笑っていた。
 


 その翌日太宰が掴み立ちをした。可愛いと思わず声が出てしまう。後で監視カメラの映像を見なければと嬉しそうに笑う太宰を見ながら思っていた


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