ぽかんと探偵社のみんなの口が見開いていた。へっと間抜けな声を出しながら帰ってきた福沢を見つめる。えっととそれはなんだいと聞いたのは与謝野だった。聞かれた福沢は不思議そうにしながら福沢がわきに抱えた荷物を見る。驚くみんなに不思議そうにしていた福沢はみんなの視線を見てその荷物を見る。
「勉強も大事だが、遊ぶことも大事だと思ってな。少しはそう言うものもあった方がいいだろうと買ってきたんだが」
「少しの量じゃないんだよね。いや、まあ確かに勉強だけでなく遊びも必要だけど。
 今度からそういうこともちゃんと取り入れていこうか」
 ねえと与謝野が子供に話しかけていた。子供はまん丸くなった目で福沢を見上げてそれで首を傾ける。
「必要なの」
「そうだね。必要かな。勉強するだけだと疲れちゃうし、息抜きのためと後はそう言うものから学んでいくものもあるんだよ」
「ふーーん」
「……ほら」
「いいの。僕お金なんて」
「気にすることではない」
「そうだよ。馬鹿なこと気にしないで、さっそくやってみるかい」
「うん」
 子供の手が差し出された手を掴んだ。やたらと重い袋で福沢は持ったまま、与謝野もっ支えて三人で床に下ろしていた。
「何買ってきたんだい。こんなに」
「何がいいのか分からなかったから適当に店員にこのぐらいの子供が遊ぶものを選んでもらった。どうだ。何か興味があるのはあるか」
 はあと呆れたように与謝野が聞く。答える福沢はじっと子どもを見ていた。子供は与謝野と福沢をそれぞれみてkら袋の中に目を向けていた。雑に物が詰め込まれた袋の中、ごちゃごちゃとしているのを与謝野が一つ一つ取り出していく。
「ボールは外で遊ぶものだからね。後で敦や賢治と遊んでくると良いよ。寮の空き地ならそこそこ遊べるだろう。縄跳びやスケート靴もあるね。バトミントン持ってこの袋外用じゃないのかい。
否、うちで遊ぶものもあるのか。トランプとかるたそれにこれはルービックキューブかい。知恵の輪に……って、頭使うのばっかじゃないか」
「勉強が好きならそいうものが楽しいかと頼んでおいたな。こちらならまだいいのではないか」
「ああ、こっちはそこそこだね。それで遊びたいものはあるかい」
 袋の中を広げた与謝野が子供に聞いた。聞かれた子供は並べられたものをじっと見つめる。恐らくどれも子供には使い方の分からない者だろう。不思議そうに見つめては与謝野や周りを見ていた。みんなは子供がまず何に興味を示すのかをじっと見守っている。子供の口が尖り、それからこれと一つのものを手にしていた。握りしめているのは一つの箱である。
 かるたと箱の上にでかでかと書かれている。
「かるたかい。やっぱ少しでもわかるもんがある方が選びやすいだろう。まあ、まずはやろうか。買ってきたんだ。社長もやるだろう。敦や鏡花ももちろんやるよね」
「そうだな」
「いいんですか」
 かるたをやる場所はすぐに用意されていた。まずこっちの絵を描いている方を並べるんだよと説明しながら与謝野がかるたを並べていく。敦や鏡花が手伝うのを見ようみまねで子供も手伝っていた。
 それを並べたら今度はこっちの札。こっちの札を読むからその頭の文字が書いてある札を取るんだ。
 試しにやってみるかい」
 与謝野とかるたをじっと見ていた子供は与謝野が札を読むとするに目を落としてある札に手を伸ばしていた。肺と手を置く。まだ見つけられていたんかった敦や鏡花が驚いたkを押して子供を見た。与謝野も驚きながらすぐに笑い子供の頭をなでていた。
「凄いじゃないか。こりゃあ本気でやらないとまけちまうね」
 褒められる子供は少し遅れてからほんの少し嬉しそうに口元を開けていた。
「いや、中々圧倒的な結果になったね」
 その数分後、与謝野は感心したように子供を見ていた。もう場にカートは一枚もない。子供の手元にはかるた札が厚みを持っており、敦や鏡花の手元には数枚ある程度だった。子供はいつも与謝野が札を読んですぐにかるたに手を伸ばしていて、探している様子もほんのわずかしかなかった。
 強いんですね。すごいですねと見ていた事務員たちが子供をほめていく。頭を撫でられながらご褒美と言って子供におかしを差し出したりするが、子供はムウと口を尖らせて嫌そうに首を振っていた。
 圧倒的じゃないよとそう口にしている。むうと膨らむ子供の頬。えっと周りが固まる。子供はジト目で福沢を見ていた。
「だって全然本気出して取ってないんだもん。僕は取らせてもらってただけだもん」
 子供の言葉にみんなの目が福沢に集まり、与謝野からはあーーと何とも言えない声が出ていく。社長ととがめられ福沢は突端に眉を寄せて子供を見た。そうはいってもとなさけないこえがでていく。
「兎に角次は本気でやるんだよ」
 またやろうかとかるたを回収していく与謝野。福沢の口元が少しだけ尖り、困ったように眉を寄せるが、それで止まることはなかった。準備が整っている。
 子供が福沢をちょっと見てから並べられたかるたを見つめる。与謝野が読み札を手にして読む前に本気ねと福沢に告げていた


あーーと与謝野からは残念そうな声が出ていく。惜しかったねと子供の頭を撫でる。並べた二つの札の山。僅かに福沢の方が高かった。二三枚、目だけでは分かるか分からないか程度のものだ。
 あとちょっとだったのにねと福沢の札を睨む子供の頭を撫でる。与謝野や他の者、見つめてこられる瞳に福沢はだから言ったのにと言いたげに目を伏せ、口を閉ざしていた。
 子供はムウと口を尖らせて福沢を睨んだ。
「記憶してないのに何でとれるのか分からない。どうしてなの」
 子供から出てくるのはとげとげしい声であった。その声で聞かれた福沢は目を丸める。周りも同じような顔をした。その後え、じゃあ子供は覚えていたのとその事に驚いちえた。ああと言ったのは与謝野だ。
「そりゃあ瞬間視があるからだろうね。」
「瞬間視」
 子供の首が傾く。
「周囲の状況を瞬間的に確認し捉える能力のことだね。社長はそれが良いから言葉を聞いて札を見た時、すぐに札を見つけることができるんだよ。目の良さってのはただ物を見えるだけじゃなくて動くものの見え方とか距離感の捉え方とか周りをよく見るための眼球の動きの速さとかが関係してくるんだけど、社長はそれがどれもいいからね。
 多方向に目を使っての遊びで社長と戦うのは難しいかもね。目で見つけてから手を動かすまでの販社も早いし、それを考えたら社長にこれだけとれたんだ。あんたは凄いよ。よくやったね」
 にこにこと太宰が子供に嗤う。子供は不機嫌そうだったのか少しだけなりながら、それでもじっと福沢を睨んでいた。ぐいぐいと与謝野の服を引っ張る。睨む目を与謝野に向けている。
「僕も視力良くしたい。どうしたらよくなるの」
「え、あーー、トレーニングできないことはないけど、トレーニングする会」
「うん。する」
 子供の目が若干輝く。きらきらではなくぎらぎらか。そんな目をして意外に負けず嫌いなんだとみんな戸惑っていた。


 遊びに行こうと言ったのは敦であった。たまには事務所だけでなく別のところに行くのもいいと思うんですよ。そう子供に行った。聞いていた子供は首を傾けていたが、その周りにいた与謝野と国騎亜は良いじゃないかといい、計画がどんどん進んでいく。
 子供は騒がしいような所があまり好きではないみたいなので、遊びに連れていくのなら騒がしい場所じゃない方がいいか。みんなで考えて水族館と公園その二つに絞り、どうしたいと子供に聞けば、どちらも知らない子供は首を傾けたが魚を見られると聞いて水族館を選んでいた。
 泳いでいる魚見たことないと目を輝かせていた。見てみたいと笑い楽しみにする子供のわきでは誰が子供を水族館に連れていくかでもめていた。

 水族館から帰った後、子供は疲れて昼寝をしにいってしまった。丁度それを呼んでいたかのように帰ってきた太宰ははいと与謝野から渡されたものに目を丸くしていた。他の社員に子供が渡していたのとほぼ同じもの。一つだけ違うのは小さなストラップがついていることだった。
 まじまじとそれを見つめた太宰はすぐ子供が寝ている医務室を見た。
「あの子ですか」
「そうだよ。あんたにって。
 よく分からないけど気にしているようだね」
 ストラップが揺れる。その先を見つめながら太宰からは深いため息が出ていく。そうですかという気はない。


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