書きたい話
2024/11/07 04:50
途中まで描いてるもの
にょた社長がだざさんを飼う話
産まれた時にはきっと捨てられていた。
物心ついたころにはすでに親の顔は知らず、一人で生きていた。死と生の狭間をいくつ彷徨ったことか。覚えてもいない。
必死に生きていた世界を変えてくれたのは私のものにならないかと差し出されて一つの手であった。意味も何も分かってはいなかったけど生きる気力を失いつつあった私は頷いていた。差し出された手の持ち主は私を飾り立て閉じ込めながら、一方で私に安寧を与えてくれた。
意思のない人形とされるのは少し苦しかったし、まだ幼い体を性の対象として抱かれるのは痛かったけど、でもその暮らしは路地で温まる家も持たず、食べ物もなく彷徨う日々に比べたら暖かな空間の中はそれだけでも安心できたのだ。
でもその生活は長くは続かなかった。
太宰を拾った男が女の子を連れてきたのだ。
太宰は飽きられて相手にされないようになり、放り出された。奴隷商に売られて織の中に入れられろくな食べ物も与えられなかった。それでも外より楽だった。そしてある日別の男に買われていた。
男のように着替えさせられ人形のように飾られた。ガラスの中で笑っていればそれで満足してくれて、何もする必要はなかった。
でもそれも終わった。
また女の子だ。
売り飛ばされたのは今度は同じ趣味の男のもとでショーウインドーに飾られたマネキンのように他の子たちと共に飾られたけど、その時もしばらくしたら新しい子と入れ替えると捨てられていた。
外の世界はやはり行きづらくて太宰は今度は自分から買われた。
鎖につながれて、時折殴られる日々。でもご飯は美味しかった。部屋は暖かった。それだけで満足だった。
また売られるまでは
売られて買われて捨てられて拾われて売られてを繰り返した。
その理由の代替が女で、やはり女の方がよい。男の子も素敵だが柔らかさが足りん。すぐにガタイもよくなるし、男の子が美しいのは今だけだ。まあ、女の子も消費はあるが男より遅いし、何より子を産ませたら引き継がせるからな。女の方がやりやすい。
そんなげひた話をしているのを何度聞いたことか。男がその話をするたび、捨てられる度、太宰は己が男であることを呪った。もし自分が女だったもっと飼ってくれたのか。捨てずにいてくれたのか。
女がうらやましい。
太宰は女になりたかったんだ
目の前の光景が理解できなかった。理解したくなかった。
ふにゃりと柔らかい感触。もう一度もむ。押しつぶされているような感じはあるものの柔らかさは変わらず、もう一度もんでその手の中にあるものを見た。
太宰と恥ずかしそうな……それよりもばつが悪そうな声が名前を呼ぶのにやっと顔を上げた。
依頼に関係のある資料を探していた折、昨夜痛めた足が言うことを聞かなくなって崩れたからだ。丁度梯子に上っていた時で高いところから落ち欠片のをたまたま共にいた社長が下敷きになって体を打つのを塞いでくれていた。その際に頭が乗ってしまったのは社長の胸元だった。
その時感じたのはふんわりとながらも確かな感触のある柔らかさ。それはどう考えても男のものではなかった。手で触れてみても確認しながらも銀の目をじっとみて、太宰の目が開く。
それはやたらと大きかった
「社長、女だったのですか」
福沢の目元は寄って眉間に深い皺ができる。固く引き結ばれた唇。睨むように見てきながら暫くして福沢は深い吐息を吐き出していた
「誰にお云わないでくれ。頼む」
福沢の声が太宰にはよく聞こえなかった。太宰は柔らかなものをつぶす手を離さないまま、福沢を見下ろす。そんな太宰に福沢は頼むとまた懇願した。
誰にも知られたくないのだと
「どうしてですか。どうして女であることを隠すのです」
太宰からでていく声は震えていて、その目は揺れる。下から見上げる福沢は少しだけ首を傾けながら、口を強く引き結んでいる。それはと開くものの痛々しい雰囲気がある。太宰の手は福沢の胸をもむ。柔らかくて心地よい
太宰にはどうやっても身に着けられない感触だ。これがないから太宰は
「女と知られれば剣の道では舐められる。それに女であると下に見ては下品な要求をしてくるものもいるだろう。それが嫌だった。
だから頼む。他の者にはいわないでくれ。私は男として生きていきたいのだ」
太宰には福沢の言葉の殆どが分からなかった。それなんだ。舐められていいじゃないか。力のないものたちだと思われた方が色々やりやすいし、力を見せつけさえすればみんな従順になる。女だって馬鹿にしていればそれほどやりやすいことはない。下品な要求でもなんでもかなえてやれば何でも聞いてくれる。男として生きるよりずっと簡単だ
福沢の考えはせいはんたいのもので何度考えても分からなくてそして最後の言葉に太宰の目の前は赤くなった。
太宰は女でありたかったのに。そしたら捨てられず長いこと飼われることができたのに。
どこに行くのか。いつ死ぬかも分からないような外に何度も放り出されることもなかったのに。女であれば
いくつもの言葉が太宰の中を満たしていくけれどそれは外に出ることはなかった。福沢は太宰のことを戸惑うように見ていた。
どうしたと問われる。太宰は答えることもせずに福沢のものを見てしまう。
あれさえあればと願ってしまう。
怒りがわく。それでも太宰は笑って分かりましたとそう言っていた。下で福沢が安心したように息を吐く。それを見るだけで太宰の心はぐちゃぐちゃにつぶれて乞われてしまいそうだった。
昔から女という性別は嫌いだった。
紅をさしたり、きれいな着物を着るのは好きだったが、それよりも父や父の弟子たちに混ざり剣を振るうほうが好きだった。母は今の時代女手と己を守る力を持っていたほうがいいと福沢が剣を握ることを賛同してくれたが、その他大勢はいい顔をしなかった。
女だというのに……。女は他にすることがあるだろう。女となんかやってられるか。
どれも福沢に向けて囁かれてきた否定の言葉たち。
それでも福沢は剣を握ったが、年頃の頃になると打ち合いをしてくれるものはいなくなっていた。唯一いたのはその昔道場破りをしにきて幼馴染となった男だけ。
その日から毎日、その男だけ打ち合ったが心のなか晴れぬものがあった。
大人になって狭い世界から出るとさらに女という性別は嫌いだった福沢の道の邪魔をしてきた。
剣の仕事をしようとしても女はと断られることが多く、受けてくれようというものも剣の腕ではなく、福沢の体を求めていた。仕事をしたいならばと求められて福沢は女であることに疲れた。
いっそと男の格好をし、男のふりをして求めれば面白いぐらいあっさりと仕事は見つかり、更にそこで認められてはながあがり、いつの間にか世にいる五人の天才剣士とまで言われ始めるようになっていた。
そこで福沢は女わ捨てたのだ。
それ以降ずっと男として生きてきて、福沢が女と知るのは幼馴染である源一郎ただ一人であった。
そんな秘密を知られてしまった太宰のことで福沢は悩んでいた。
約束してくれた通り太宰は福沢が女であることを口外せずにいてくれるのだが、それとは別にあからさまに態度がおかしいのだ。
社長と部下という関係でもとからそこまでのつきあいはなかったのだが、それなりに話すし時間が合えば食べに行くぐらいのことをしていたのがなくなった。誰かと行こうとしていた時も福沢が行くことになるとやっぱりいいやといいだし、話していたときも福沢が入れば人の輪から遠ざかる。
報告書もほとんど誰かに任せるようやなり、彼個人的に危険な依頼が来ることがあるのだが、どう嗅ぎつけるのかその書類は勝手に取っていかれるようになっていた。報告書は気付けば机の上においてある。
明らかなほどに福沢のことを避けようとしていた。
どうしても二人きりで話さなくてはならないときとかも来るのだが、その時は何も感じないようにしているような無の顔をしている。
女であることがバレて何かしらの変化はあるのだろうと思っていたが、ここまで拒絶されるとは思っていなくて福沢は戸惑いずっと気になっていた。
女という性別だけでそんなに変わってしまうのか。
だからか、ついに福沢はそれを聞いてしまった
「どうしてだ」
問いかけたその言葉に太宰は目を見開くが、すぐに無の顔に戻っていた。どうしてだともう一度続ける。今度は確かな意志があった。
悪いのは隠していた福ざわである。それは間違いないがその態度が続くと問題が起きるかもしれない。どうにかしなければならないとは感じていたから。
実際福沢を徹底的に避けようとするといくら隠そうとしても気づかれないのは無理で太宰は今も他の者たちとも微妙な距離があった。それをもとに戻さなければと見つめる。
太宰はその顔をはっきりと顰めていた。
引かぬというのは伝わるのだろう。
短くと息を吐きだして、嫌悪の顔を向ける。
「貴方が女であることを嫌っているからですよ
私は男よりも女でありたいのに、その女である社長が、女であることを嫌っているから」
「は」
「社長が前に話しておりました女であることが嫌な理由は私には女であることの利点にしか見えません。女の体はそれだけで価値がある。それを嫌うのがわからない」
「……それだけか」
「ええ」
「人には色々考え方がある。お前が女の武器が多く女になりたいというのは否定しないし、それで私を嫌うのもいいが、本当にそれだけか。なんというかまだなにかを隠している気がする」
「……
私人に飼われて生きてきたのです。金持ちで趣味のいい男たちに買われていきながらえた。こんなことを言うと同情してくる人もいますけど、私はそれが良かったんです。物心ついた頃には親はおらず一人で生きていたので飼われて暮らす方がよかった。抱かれたり暴力を振るわれたりもしましたけど、ご飯を食べれて、清潔なカッコウができて、暖かな場所で眠れる。
それだけでも幸せなことでした。
ご飯を食べれず、いつものお腹が減って、ろくに風呂にも入れずほこりまみれ。夜は寒くてろくに眠れもしない。寝たら死ぬ。
そんなふうに生きるよりはマシでした。
でも……、みんな私が男だからって捨てるんです。初めて私を買った人は可愛いが、やはり女だなと言って私を捨てました。次の男は観賞用としてなら男でもいいかと買ったけど、やはり抱ける方がいいと女の子を買い、また私を捨てました。
みんなそう。
男でもいいかって手を伸ばしてやはり女の子がいいって女の子を買う。私は男の子だから捨てられる。
奴隷商に売り飛ばされるならいいですけど、捨てられたらまたひもじくて寒い外で生きなくちゃいけない。 私は飼われてたかった。
女の子みたいに誰か一人にずっと飼われ続けていたかった。そうして楽に生きていたかった。だから男の私が嫌。
女であればよかったのに」
太宰の話を聞きながら福沢はその瞳の中に映るものが信じられなかった。太宰は静かで虚無の顔をしているけれど、わずかにその瞳が濡れていて、そこに映るのが福沢には子供のように見えていたのだ。
小さな子供だ。
出会った頃の乱歩よりも小さな子供。
そんな子供が太宰の中に潜んでいたのが信じられなかった。己の錯覚と思いたかった。正直それは錯覚だ。太宰はただ静かに話していて、福沢がそう見えているだけだ。
でもそれは間違いなくそこにいて、捨てないでと叫んでいる。
楽とかその暮らしの方がいいからとか太宰は口にしているけれど、子が叫ぶのが福沢にはそう聞こえなかった。
福沢に聞こえたのは寂しいという声だった。
手を差し伸べてくるのに、あっさりと手を離していく。 いらないといってくる。
寂しい。誰か必要として、ずっとずっと傍において必要としてと臨んでいた。
太宰の目は寂しがる子供の目で……。
それでいて何も望むことのできないものの目だ。
全てに疲れて絶望してしまった。
ぞくりと音を立てて何かが動いた手を伸ばしたいと思ってしまって手を伸ばした。
太宰と彼の名前を呼んでその目を見る
褪せた目は私を置いてと叫んでいる
「そんなに飼われたいのであれば私に飼われてみるか?」
「はい?」
寂しげだった瞳が動く。手を映しては瞬きして何かを考えている
「私に飼われろ」
同じことを言えば更に固まってより深く思考に落ちる。でも言ってることは単純だ
「誰かに飼われ続けたいのだろう。では私がずっと飼い続けてやる。私に飼われてみろ」
「何で」
「お前を飼ってみたくなった」
答えはいつだって単純なのだ
車長のふくよかなお胸に顔を埋めて赤ちゃんするだざさんを描きたかったがためだけに書き出した話だけど、色々描いてるととても楽しくなったのでいつかは描き上げたいなぁ……
家族になろう
乱歩さん、与謝野さん、織田作が社長の子どもで、敦君、鏡花ちゃん芥川君が太宰さんの子どものふくだざ
赤い火が燃えていた。
ごうごうと激しい音を立てて山の上に立つ館の全てを包み込んで燃えていた。助かる命なんてないだろう。その日を前にして己の中で何かの糸が切れるのを聞いた。
ぱちぱちと乾いた音が聞こえてくるのに敦はふっと我に戻っていた足元が崩れて倒れ落ちながら己の前の光景を見つめてしまう。そこに在るのは赤い血。
そして……そこに倒れる男の姿。
ごろりと首が転がって
ぱちぱちとまた軽い音が響く。全部が全部作り物のように思えてしまう軽い音。その音を立てて男は笑っている。そして赤い色など何も気にせずに歩いてくつを汚す。浮かべた笑みは凄いねなんて感嘆の声を零していた。
叫び違った声が音にならずに掠れた吐息になっていく。そんな敦の前で男はなおも笑っている。
「そんなに行きたかったの」
「あ、ああ、……あ」
男の声は優し気に敦に聞く。だが敦は答えられない。己の体に纏わりついた赤を見、そして床の光景を見下ろす。そこに転がる男を。
その男が生きていた姿を敦は思い浮かべることができる。
先ほどまで見ていた。敦が……
ふふってその柔らかな声が聞こえる。敦の目は男を見ることができない中で男の手が敦の顎を掴んで無理矢理その目と目を合わせてくる。
大丈夫。なんてその男が囁いた。
「生きたいと思うことは悪いことじゃない。その為に人を殺めることもあるだろう。それを君は気にしなくてもいい。彼は君を殺そうとしたんだ。君は己を害するものを振り払っただけ。人は生きるために生きている。そんな欲望を考えれば仕方のないこと。
まあ、私にはないのだけど」
男の手が柔らかく触れては敦の頬を撫でていく。その手にまで赤い血がついていた。姐と男が囁く
「おいで。私と一緒に行こう」
ふふと微笑む男を敦は呆然と見つめた。
「はぁ? 今……何って……」
呆然とした声がでていくのに太宰はふっふと笑っている。美しくて見る者の心を虜にしていく笑みだが、そんなものに今の敦は騙されたりしない。その目は大きく丸く見開いて太宰を見ている。
手から零れたスプーンがカラント音をたてたが、それは二つ重なった。
久しぶりに夕食を共に食べていた鏡花と芥川の二人も敦と同じような顔をして太宰を見ている。彼らも今なんてと同じ言葉を繰り返す。
だからねと太宰が柔らかく笑う。
「私に恋人ができたのだよね。その人にもっと私と過ごしたい。共に暮らさぬかといわれたから私はこの家を出ようかと思うのだよ。帰ってこないわけじゃないけど、週に三回だけとかになるかな。
でももう三人だけでも問題ないよね。芥川君は大人だし、敦君も立派に成長した。二人とも最近は喧嘩もしなくなったしね。というわけでしばらくしたらでていくから」
にっこりとそりゃあもうにっこりと笑う太宰を三人の目は見てそれからはあと大きな声を出していた。
芥川が壊れたレコーダーのように恋人とその言葉を繰り返し、鏡花がスプーンをしてはいけないも力をして誰と聞いている。敦もまた太宰に詰め寄っていた。
「駄目ですよ駄目! 太宰さんに恋人なんて絶対おかしい! ありえません。
そうだ、太宰さん自分のことなんてどうでもいいからいい寄ってきた人の言葉をあっさり頷いたんでしょう。そんなのだめです。
太宰さんはもっと自分を大切にしてください」
「え……。いや」
「癪だが人虎の言う通り。太宰はさんはもっと自分を大切にするべきです」
「振るのが無理なら私がやるから」
敦が思いのままに叫んだ。その言葉を受けた太宰は戸惑う様子を見せるが、芥川や鏡花は己を取り戻して太宰をじっと見つめてきている。大切にしてと言われる太宰はえーーと声を零して、頬をかく
そうはいってもと太宰の目は三人を見た。
あのねと呟く声。目が流れた。
「私が好きな人なんだけど。……告白されたからとかじゃなく、むしろ告白したのも私の方だし」
「「「は」」」
また三人の目が見開いていた。
はいと声が出て芥川が膝から崩れ落ちていく。太宰さんがってまた壊れたレコード〜のようになっていた。敦は固まって……、そんなわけないって叫んだ。
「太宰さんが好きな人とかありえません。貴男自分がどんな人かわかっているんですか!自分を誰よりも大切にしない人でしょう。好きとかありえないじゃないですか」
「えーー」
「僕がどれだけあなたのことを心配してきたと思っているんですか」
「いや、それは悪いと思うけど、でも私のことだって信じてほしいな」
「「「無理です」」」
「そんな強く言わなくとも」
敦だけでない。呆然自失としていた二人までそろって太宰の言葉を否定していた。じっと見つめられて肩が少し寄っている。ん−ーと声に出す彼はじゃあどうしたら信じてくれるのだいと敦たちに向けて問いかける。
三人が目を合わせた。
膝を床につけた芥川が目をそらし、鏡花も目をそらしていく中で、太宰の目はじっと敦に向けられ問いかけている。ええっと敦から声が出て見つめてくる太宰を見ては目をおよがせた。
それはそのとでていく声は先ほどまでと違い弱い
「じゃあ……じゃあ、恋人に会わせてください!」
そんな声が出ていた。
ある程度描いて後は肉付けしていくだけなので頑張りたい。なんだかんだでわちゃわちゃしてる探偵社を描くの好きです
コナンとクロス
コナン君に取り憑いちゃう太宰さんの話
その日、太宰が目覚めるとそこには白い天上が広がっていた。
知らない天上だがわずかに匂う消毒液の匂いでそこか病院であると悟る。それと共に思い出す記憶りチェッと舌打ちが落ちた後、あれ?と首を傾けた。声が己のものではなかった。体に意識を向けていき、ふむと声を出す。
(どうやら私はちいさくなっているようだね)
あ~、と天上を見上げる。どうしてこんなことになったのかなんてぼやきながら、太宰は起き上がろうとした。出来なかったのはその前に人が入って来たからだ。「コナン君良かった気がついたのね!」
(……コナン? それにこの女性は……。あ、なるほど、私幼くなったわけじゃなく別の体に入ったのか。腹が痛いから小さくなったで間違いないと思ったけど……。あ、なるほど。この子も腹をさされたのか。
にしても無茶するな、殺人犯をおいかけるなんて、しかも他の人が刺されそうになった所、かばいに入るなんてね)
理解した瞬間、太宰の中には彼のものでない恐らくはこの体の持ち主のものであろう記憶が流れていた。それはすべてではなく最近のものだけだが、女性が誰であるかは分かっていた。
「うん、もう大丈夫だよ、蘭姉ちゃん」
「良かった。もう無茶しちゃだめよ、コナン君、三日も目をさまさなかったんだから、心配したんだから」
「ごめんなさい」
「お医者さんよんでくるからまっててね」
言うだけ言って女性は小走りで部屋の中から出ていく。安心したのか涙を浮かべていた。
(可愛らしい女性だったね、この体でなければ心中にでも誘っている所なのだけど。
所で一応君のふりして過ごしてみた方がいいのかな。コナン君)
太宰は問いかけた。
誰にと言うと先ほど、記憶を思いだす時、感じた体の中のもう一つの気配にだ。
(うん。そうしてほしいんだけど……何でこんなことになったのか、お兄さん、分かる。お兄さんの記憶が少し見えたから僕と同じ時間に腹をさされたことは分かるんだけど……」
(さあ?さっぱりだね。 異能力は私には効かないから不思議現象としか今の所は言えないかな。もしかしたら私が死んで憑依してしまった。とかかもしれないね、私は君と違って人がいない場所でさされたからそのまま放置されたか、遺体を見つからないように隠されたかのどっちかだからね。いやー、困った困った)
(全然困った風には聞こえないけど。もしかしたらずっとこのままってこと……·
お兄さん、悪いんじゃないよね)
もう一つの声は素直に応じて、そして太宰を探るようにしてきていた。もし実
体でも見えていたら、その目はとても鋭いことだろう。おや、太宰は心の中で片眉を上げる。どうにも子供らしくない。思い起こせば記憶の中の行動も子供とはかけ離れていた。そして太宰の中に流れこんでくる思考もまた子供らしくない。
(安心して、私は一般人に危害をくわえるようなものではないよ。聞いたことないかな、武装探偵社と言う所で働いていて、狙われたのもその仕事の関係だ。だから君が心配するようなことはない)
(……武装 探偵社。本当だ。でもお腹さされたのが仕事の関係は嘘だよね。女性関係の逆恨みって何したの)
(……この体心まで読めてしまうのは面倒だね)
(本当に。お互い伝わってくるもんね。隠し事の一つも出来やしないや。お兄さん知られたくないことたくさんあるみたいなのに)
(それは君もね)
二入してため息をついたのは同時。あわせて体も吐息を吐いていた。
「新一。目覚めたと聞いたが大丈夫か」
「悪運が強いわね。工藤君」
その時病室の扉がまた開いた。
入ってきたのは医者を呼びにいった女性ではなく、ちょっと小太りぎみの男性と太宰の体の主と同い年ぐらいの少女だ。
「新一、工藤? コナンでじゃないの?」
「へ」
(あ、やべ)
「…!! 貴方誰」
入ってきて早々室内は緊迫した状況になってしまった。
(はあ、なるほど、薬で体が小さくなってるんだ。黒の組織ってのが関わっているのか。うう~ん、この銀髪の男とサングラスの男かな。恐い顔してるね。一般に出歩いて大丈夫? 職質たくさんうけてそう)
(ぐっ。くそ、この体ホントかくせねぇ)
(はは、それよりいいの。あの子、シェリーちゃん? ふるえてるよ。普通記憶喪失とか疑いそうだけど、彼女は誰かが入れ替わっているって疑ってるのかな)
(まあ、組織の奴とか、別人にすり変わるのが得意な奴いるからな。
一人や二人協力者がいてくれたほうがボロもでにくくなるだろうから、二人なら本当のこと伝えていいよ)
(了解)
男が困惑し、子供が怯える前で二人はポンポン会話をした。ふたりとも思考が早いからか、それとも意識の共有があるからかよどみもなく行える。
「私は太宰治、君が考えた通り別人だけどすり変わっているわけではないから安心して、これは正真正銘彼の体で、私はどういうわけか彼の中に入ってしまったようだ。まあ、幽霊が取り憑いているとでも思ってくれたまえ。
彼もちゃんと私の中にいるから安心してくれ。なんか話せるかな。あ~あ」
「は? 貴方何を言っているの。子供だからってそんなこと信じるって思わないでくれる」
「あ~悪い灰原、本当の話なんだ。お前の姉さんが宮野明美さんであることと、博士のお尻にほくろがあること。ついでに二人が病院近くのハンバーガー屋でお昼を食べたことで信じてくれねえか。博士のひげにはソースがついてるし、二人共ケチャップ系の匂いが薄っすらとしてるからな。灰原が博士が脂っこいハンバーガーを
食べること許すのは珍しいけど、病防近くに他に食べ物屋はねぇし、二人がずっと俺の目がさめるのを待っていてくれたとしたら不思議はねえよ。
ありがとな」
「……ふん。どうやら本当のようね。全く面倒ばかりおこすんだから」
(ふふ、やるね。でも君が表にでられるなら私が君のふりしなくてもよさそうだねーって、ありゃ、そうはいかないのか)
太宰は体の中のもう一つの気配が弱るのを感じて一つ嘆息していた。そうだなと聞こえる声は弱しい。
「でも、どうしてそんことが起きたんじゃ」
「それが謎なんだよね、同時刻に刺されたみたいだからそのせいかとは思うんだけど、どうしてなのうはさっぱり」
「ちょっとどうして工藤じゃないのよ、彼が話せるなら、彼に話させなさいよ」
「それがどうやら彼が話すと精神的にとても消耗するようでね。基本的には私がこの体を動かすしかないようだ」
「……そうなの」
少女はとても不快そうに太宰を見て鼻をならした。
「あ、そうそうこのことは秘密にしてほしいな。あんまり大勢に知られてもいいことはないだろう?」
「そうね、分かったわ」
「了解じゃわい」
丁度話が終わったころ、医者を連れて女性が戻ってきた。二人は入れ替わりに出ていきた太宰は診察を受けた。
(そう言えば)
暫く入院することになった太宰はこれ幸いと布団の上でごろごろ過ごした。何も考えずゆっくり横になっていた夜、同じようにゆっくり休んでいたのだろうコナンに声をかけられた。
彼の考えはじんわりと太宰の中に浸入してきていて、何を言おうとしてるのかは言われる前に分かる。
つい思いおこしてしまうみんなの姿
(お兄さんの仲間に生きていること伝えなくていいの? 心配しているんじゃ)
(……別にいいよ。この状況を説明するのも手間だし、彼らは私がいなくなることにもなれてるからきっと気にもしてないよ。ついに死んだかって思ってくれるはずだよ)
(·········お兄さん)
太宰は一度思いかべた顔を脳裏から消して答えていた。子供の声が悲しげになる。じわじわと思いがしみこんでいた。
(大変だね)
(まあ、そうなのかもね)
子供の声が聞こえなくなる、それでもわずかずつ感じる思いにふたするよう太宰は目を閉じた。それで聞こなくなるなんてことはなかった
書きたいね。めちゃくちゃ妄想してる。
デリヘル
デリヘル呼んだら太宰さんが来ちゃった社長
「……は」
「こんばんは。 デリバリーラブから来ました。 太宰治です。
どうぞよろしくお願いします」
デリヘルを呼んだ筈の福沢の家に来たのは太宰だった。 福沢が目を見開く前で太宰はにこにこ笑っている。 かと思えばやれやれと肩をすくめて呆れた目で福沢を見る。
「デリヘルを使うのならもう少しいいところを使わないと駄目ですよ。 ここはろくに教育をしていませんからお喋りの者が多いのです。
客を脅すものまでいる始末。
偉い人に媚を売るため、私が潜入していたから良かったものとそうでなかったら困ったことになっかもしれませんよ」
はぁとため息を付くだざい。
それでも福沢はなかなか理解できなかった。 当然そんな仕事は知らなくて「一人で勝手なことをするな」と咎める声が出るけど、太宰は「だって媚を売りたかったんですもの。」とにこにこ。 反省の様子はない。
それどころか「社長にも性欲あったんですね。 頼んだの無駄にしてしまいましたから、責任取って私がお相手しますよ」何て言ってくる始末。
頭が痛い。
今度は福沢からため息が出る
色々言いたいことはあったけど殆ど消えていてしまう。
「一つ言っておくが私は別に抱きたくてデリヘルを呼んだのではない。
……ただ人肌が恋しくて、添い寝の相手として頼んだのだ」
これだけはと思って口にする言葉。 嘘ではない。 どうにも昔の事を思い出しては息苦しくぬくもり欲しさにデリヘルは呼んでいた。
そうとは思っていなかったのだろう太宰は驚いた顔をしていた。
かなりの予想外だったのか、その顔は年齢よりずっと幼く見える。
それが可愛く見えて追い出そうと思っていた福澤の気が変わってしまう。
「代わりになってもらえるのはありがたい。 共に寝ようか」
さらに驚く太宰。
冒頭の福澤みたいに固まってしまうが、そんな太宰を福沢は寝室まで連れていてしまう。
「時々、一人で眠るのが寂しく感じる時があるのだ。 どうしようもないぐらい息苦しくて目を閉じても嫌なことばかり浮かんで余計に苦しくなる。
情けない話だが、そんな時は人のぬくもりが欲しくなる。
暖かい誰かを抱きしめていると安心できるのだ」
腕の中、太宰を抱きしめて横になった福沢がとつとつと語る。
太宰からは「はぁ。 そうなのですね」と理解してないだろう返事が返ってくる。 なんでこうなったのか,まだ混乱している太宰を抜け出せないよう閉じ込めながら福沢は目を閉じる。
「お前も眠るといい。
勝手なことばかりしてどうせ寝てなかっただろう。 今日はゆっくり休め。 私がいるからきっと眠れる」
とんとんと太宰の背を叩く。 その手は子供をあやすものよりは力の強いものであった。 逞しい腕に抱きしめられた太宰はかなりの時間を目を開けていたけれど、朝方近くになるとその目を閉じて眠りに落ちていた。
太宰が眠った後に福沢は目を開ける。
「まさか本当に寝るとは。 思っていたより私達は信頼されていたのか……。
もっと信頼されたいものだ」
この後、毎回来るようになって困る社長をとても描きたい。描きたい
兄弟のふくだざ
生まれ変わりネタで車長の家族になりたかった太宰さんと、太宰さんと恋人になりたかった福沢さんのすれ違いコメディ
痛みを抱えたその瞳に惹かれた。
寂しさを堪えたその瞳の中に映りたかった。
優しいものを与えて、温もりを覚えさせて独りの子供の居場所になりたかった。そこでならば息ができるような、囚われたものを忘れられるようなそんな場所になりたかった。
それは優しさではなく醜い欲だった。
己だけでありたいという醜すぎる欲。
それでも大切に思い、誰よりも安らかに生きてくれることを願っているのは嘘ではなかった。だがら愛しいのだと。共に生きてほしいのだと。その言葉は決して言わなかった。伝えなかった。己の中にひた隠しして、愛も執着も解かろうともせず、観ようともしないことで平穏を守ろうとしたあの子に付き添った。
逃げ出すことすらできなくなりながら、傍にいてくれたからそれで良かった。
例え永遠に思いを伝えられなくとも手の中にさえいてくれるのなら良かったのだ。
そう己に言い聞かせた。
真に触れ合うことはなくただずっと傍にだけい続けた。時折震える肩を抱き寄せたり、眠れぬ夜を共に過ごしたりしながらも思いは胸のうちだけだった。
あの子がいなくなるその時まで。
とても安らかな顔をしてあの子は旅立った。
満足していたのかは分からない。でもきっと寂しくはなかったのだろう。
私は、この世からすべてを失ったようだった。
言ってしまえばよかった。そうして縋り付いていればと出来もしない癖に後悔して、あの子を心底求めた。
寂しい人生だった。何時までもあの子が残り続けて。だから
奇跡が起きたのだと思った。
記憶を持ったまま新しい生を与えられて、今度こそあの子を手に入れるのだと思った。新しい人生を得たいまならばそれもできるのではないかと。あの子がかつてのように深い傷を抱えてしまう前にとあの子を探した。
今度こそ。思いをあの子にと
それだったのに、ああ、どうしたことなのか。
赤児がなく声を聞きながら私は呆然と立ち尽くした。
今世の母が貴方の弟よと産まれたばかりの小さな赤子を見せてくる。しわくちゃで毛もまだ生えてないような子だけでど、どうしてが分かってしまうのだ。
求め続けた者がそこにいると。
愛したあの子が今、生を受けたのだと。
一番近く、兄弟として生まれてきてしまったのだと
書きたいですね。兄として目一杯甘やかして、目に入れても痛くないを地で行きつつも、違うんだ。抱きしめてキスしてあんなことやそんなことまでするような、最後は一緒の墓に入るようなそんな関係になりたかったんだ。将来この子を何処かにやるつもりなんてさらさらなかったんだって歯噛みする社長がとても書きたいですね。そもそも何処にもやらない
人魚
人魚になっていく太宰さん
ああ、ああ、愛しい貴方。
貴方はいつ私のもとに来てくれるの。もうずっと待っているの。貴方が来るのを何年も。もう待ちくたびれてしまったわ。
ああ、だからそう。
私から迎えに行くわ。貴方を私と同じ場所に落としましょう
その日、太宰は横浜の町を歩いていた。
潮風が頬を擽り、髪を遊んでいく。冷たい風に身を震わせながらもその足取りは陽気なもので呑気に欠伸の一つ零していた。
何も無い午後。そういった様相。
欠伸で出た涙を拭う太宰はそこではたと動きを止めた。ほんの僅かに小首を傾けるような仕草をしながらそこのお嬢さんどうしたのだいと、いつの間にやら太宰の前に立ち竦んでいた季節に似合わぬキャミソールワンピースの女性に笑いかけている。
歩いてくる太宰にどこうともしない女性はとても綺麗な女性だった。
透き通るような白い肌に艷やかな黒髪。黒真珠のような美しい光沢を持つ瞳。柔らかく微笑む唇は桜のように色づいている。
太宰でさえも目を見張るほどの麗人。
後数歩の距離で立ち止まりながら太宰はその女性をじっと見つめた。
女性の笑みが深くなった。
その体が太宰に向かい真っすぐ進んだ。女性の動きを目で追ってしまう。伸びてくる手に体が後ろに動こうとしたけど少しばかし遅かった。女性の麗しい顔がすぐ近くにある。
零距離になっていく。
唇になにかが触れる感触。驚くよりも前にぬるりとなにかが唇を割って入り込んでくる。女性の舌と後もう一つ。鉄臭い味が口の中に広がる。それを太宰は良く知っていた。
太宰に触れる女性の腕。
その一部に目が行く。
そこは赤く汚れ、一欠片かけていた。
女性の舌は口の奥まで塊を押し付けて、太宰が飲み込むまで決して離れなかった。飲み込んだのを確認して離れそして恍惚と微笑んでいく。
「これでやっと貴方は私のもとに来てくれる」
道を歩いていたら女性にキスをされる太宰。その時女性の肉片だと思われるものを飲み込まされる。その事を奇妙な出来事だとは思いつつ、変わった嗜好のものは男女問わず多くいるものだと気にもとめずにいた。
だがそれから数日すると太宰の体はだんだんおかしくなり始めた。
やたらと息苦しく日の光を熱く感じるようになる。足が痛み歩くのも困難になっていく。ある日あまりにも息苦しくふらつくあまり川に落ちてしまう。
すぐに助け出されたが、太宰はその時、陸地よりも川の中のほうが居心地が良いように感じてしまった。
自分がどうなってしまったのか分からず不安が募る中、太宰は己の足に鱗がはえているのを見つけてしまう。それは徐々に増えていく。
息苦しさも増えていた。
一人で抱えきるのは難しくなり、恋人であった福沢に打ち明ける。福沢はすぐに探偵社にも相談して太宰に起きている異変を調べだした。太宰は暫く休むことになる。
いくら調べても太宰の変化に一致する病気は見つからなかった。
その間にも太宰の症状は重くなり、ついには歩くことができなくなっていた。太宰の足には鱗がびっしりとつき、少しずつだが両足が一本になろうとでもするように癒着し始めていた。
まるで人ではなくなろうとでもしているようで探偵社の皆の中には恐怖が蔓延った。誰かがまるで人魚にでもなるようだとそんな事を言った。冗談をと笑い飛ばそうとしても笑い飛ばせなしなかった。
そんなはずはないのだと安心するために太宰の体を水の中につけることになった。
でもそれは安堵を与えてはくれなかった
苦しかったのが嘘のように太宰の体は楽になったのだ。痛みを忘れ、息苦しさを全く感じなくなった。
太宰の体は人ではなくなろうとしていた。
どうしてと皆ががく然とする中で太宰は一つ女性に出会ったときのことを思い出していた。
いつか聞いた逸話では人魚の肉を食ったものは不老不死になるそうだが、人魚になることもあるらしい。
太宰は肉を食べさせられた日のことだけでなく、昔のことも思い出していた。
まだマフィアであったころか。入水をした太宰は美しい女性に助けられた。でも太宰は礼は言わずどうせなら心中してくれたら良かったのにとそんな事を言ったのだった。
貴方みたいな綺麗な人と永遠に一緒なんて、夢みたいに幸せなのかもね。
ねえ、いつか心中してよ。
その時太宰は答えを聞かなかった。聞く前に気絶してしまったのだ。意識が途切れる前にその女性には美しい鰭がついているのが見えて、次に起きた時は夢だと思っていた出来事だ。
それもあって町中で女性を見かけた時はピンとこなかったが、今ならばはっきりと分かった。
その人魚こそ女性だったのだと。
人魚が好きだから描きたい
人狼パ
村に隠れ踏む人狼社長と狂信者太宰さん
人を喰わなければ徐々に弱り死んでいく人食い狼の社長。でも人を食べるのが嫌で死の覚悟を決めその時を待っていた。ある時、そんな福沢のもとに人の太宰が来て死にかけの人間を差し出してくる。
拒んでも太宰は差し出し続け、ついには福沢はその肉を食べてしまう。久方ぶりの肉の味。強い飢を思い出してしまう。
その後も太宰はやってきて人肉を差し出し続ける。
貴方が優しい狼だってこと私が誰より知っている。
ずっと昔、私が初めて死にかけたあの日、貴方は私を食べなかった。私の前に横たわる肉の塊だけを食べて血塗れの私の頬を舐めた。
撫でるように優しく舐めて凍りついていた私の体を優しく暖めてくれた。
あの時私は生きながらえた。
誰より優しい狼。
そして誰より残酷な狼。
あの日、死ねていたのなら私は世界に絶望しなかっただろう。
だからこれは貴方への復讐なのだ。
人を与えて、与えて、与えて、貴方が飢えを忘れるほどに満たさせる。
そして、飢えを忘れたその時、人を与えるの止める。
一度は飢えに耐えた貴方だけど、二度目はどうだろうか?
飢えからの満足を知ってしまった今、もっと恐ろしいものに変わるだろう。気が狂う程にその飢えは苦しい。
貴方は我を忘れるほど。
そして……
貴方の爪で体を割かれ、貴方の牙で肉を抉られる。その瞬間はどれだけ甘美なのだろうか。
社長に食べられたがる太宰さんは良い
犬神社長×中華マフィアパロ
描きたい。可愛いから描きたい
同人作家太宰さん
世の中、面白い世界があるものだと太宰は感心の吐息をこぼした。
その眼の前には本にしては薄い本が積み上げられている。一つ手にしてはぺらぺらとめくり直していく。そこには毎日顔を合わせる同期たちが描かれては、ありえないようなことからちょっと、ありえそうなことまで行わされている。中には社員と社員が付き合っていることになっているものまであった。
同人誌と言うものらしい。
個人が作るもので特に今、太宰が見ているのものは現実の世界にいる人々を題材として見たいと思うものを詰め込んでいるのだとか。探偵社は表舞台に立つことも多いのだが、どうやらそう言った需要もあったようで薄い本は沢山存在する。
たまたま、そんな世界があると知って探してみたところ、見つけられたものなのでまだまだあるだろう。
さすが社長は従業員を顔で選んでいるんじゃないかと噂されるだけはあるなんて少しばかり失礼なことを考えながら太宰は本を見る手を止めなかった。
そこにはいま考えていた相手の姿が描かれている。
描かれているのは福沢ひとりで、どうやら彼のそばにいる誰か、内容的に恋人の視点ね描かれているようだった。
福沢が微笑んで恋人を撫でていく。その動作が鮮やかに描かれていて、太宰の目はそれをじっと見ていた。
人間、時には予想も出来ない事態に巻き込まれる時はある。
それは良く分かっている。それでもこんなことあっていいのか。夢なんじゃないのかって思いで僕は気を失いそうだった。失えるのだからその時点で夢ではなく遠い目ってやつをしてしまう。眼の前には美しい女性。
知り合いによく似ている。
僕が働く会社の社員。ただ事務仕事をするだけ僕と違い、事件を調べ悪人を捕まえるすごい人。その中でも優秀な人。ただし仕事態度は悪すぎる男性社員。
女子じゃない。
であれば違うといいたいが、ここは男子トイレだった。
そして彼女ではなく彼?は太宰さん。と僕が思わず名前を呼んでしまったことに対して、おや? 良く気づいたねと答えを返していた。それでもその存在を僕は認めたくなかった。
だってここは…、。
僕が働く武装探偵社の社員を邪な目で見ては妄想を募らせる奴らの集まりなんだぞ!? 僕もその一人なんですが……。
なんでそんな場所にこの人がいるのか。
「太宰さんここで……、何が行われているのかって」
「ああ。当然知っているよ」
僕の声は初めて人質にされた時のように震えていたが、太宰さんは至って普通だった。本当かどうかすら怪しく思うが、その疑いはすぐに消えた。太宰さんが問題発言したからだ。
「私もサークル参加しているしね」
わかるだろうが。とんでもない発言だ。
探偵社の調査員を邪な目で見る人の集まり。その中でもサークル参加者は己の邪な欲望を本という形に作り上げては世間に見せる罪深い存在だ。僕もそうなわけですが。
その罪深い存在だって言っているのだ。いや、太宰さんは妄想される側でしょう!? 何しているんだこの人!
「ち……、ちなみにジャンルは……」
そして何かを聞いているんだ僕。世の中、聞かないほうがいいことはある。
「んーー、言ってもいいけど君と相容れないかも」
「え、僕のジャンル知って」
「社長×乱歩さんだろう。メジャー処だよね」
シャベルが欲しい。むしろユンボだ。太宰さんにこの辺の良さげな工事現場を聞きたい。なんでこの人知ってるの。みんなにばれたらやばいトップシークレットの秘密なのに。いやここに来ている時点でなのだが。
「相容れないって社長受けとか乱歩さん攻めとかですか。乱歩さん攻めは結構人気高いですよね」
「いや、社長夢」
「え?」
どうも僕の耳はおかしくなったようだ。
「社長の夢を書いているのだよ。と言っても夢というようなものでもないけどね。なんなら見に来るかい」
太宰さんは涼しい顔でとんでもないことを行っている。がいで夢なんじゃないか。そう思いながら僕ははいってとんでもない返事をしていた。
だって気になる。
「まじな。てか、絵うま。」
「理想を書きたくて頑張ったのだよ」
「何オタクみたいなこと……。オタクでしたね」
「オタクなのだよ」
「あ
、でもなんか太宰さんが言っていたことわかりますね。これはなんというか」
まじまじと太宰さんが書いたという社長夢漫画を見る。何かの冗談だと思っていたのに、そこには社長が描かれている。社長との日々が丁寧に描かれている。ただ普通の夢といい難いのは恋愛描写は一切なかった。
一社員が社長に褒められたり、心配されたり、時には甘やかされているような話である。
「夢ではないですね。
……あの気になるんですけど、こんなものを書くってことは」
太宰さんを見る。太宰さんは僕が見ているものと同じものを手にして我ながら格好良くかけているなんて自分の書いた社長を見てはうっとりとしていた。
「…………社長が好きなんですか」
答えはもう見えているものだが、つい聞いてしまう。僕の好奇心はどうも抑えるということを知らない。
「まあ、そうだね。社員として社長は好きだよ。褒められたい」
「えっ?」
「まあ、仕事を真面目にやるのは嫌だからそんな日来ないのだけどね。だから描くのだよ」
何言ってんだこの人。そんなものじゃないだろう。そう口にしそうになったのはさらなる言葉でまた消えていた。本当に何を言っているんだ??
なんで思いついたかすら覚えてないけど取り敢えず楽しいので描きたい
後太福からの福太エロひっそり描きたい
かつて散々色んな人に抱かれて酷い扱いを受けてきたので、もしかしたらこの人もとおもって、それが怖くてセックスの時上になる太宰さんの太福が、福沢さんが私はお前に絶対酷いことはしない。どんな時でも優しく誰よりも大切にすると教え込んでからの福太になる話を書きたいけど、太福表記をつけたくないので悩む
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