制服に身を包んだなまえはCCG本局前にいた。
事の発端は兄からの「書類を家に忘れたから届けてくれ」という電話だった。土曜日だったが、たまたまいつも1日中練習の部活が半日で終わったなまえは、昼ご飯も食べず、午後一で届けに来たというのに肝心の兄がいない。局の前で待ってて、と言っていたのに。


「(仕事が忙しいのか、忘れているのか……後者の方がありえそう)」


しばらく待っていたが来る気配も連絡もないので、仕方なく中へ入り受付へ向かう。


「あの、すみません。有馬貴将に書類を届けに来たんですが…」
「えっと…有馬貴将特等ですか?」
「そうです」
「少々お待ちください」


高校生が此処に来るのは珍しいのだろうか。少し不審な目を向けられた。私だって進んで此処に来たわけではないのに…後でお兄ちゃんに文句を言ってやろう。


「あれ?なまえちゃん?」


背後から呼ばれ振り返ると、少し驚いた表情の篠原さんが立っていた。アタッシュケースを持っているところを見るとこれから外に行くところなのかな。


「篠原さん!一昨日ぶりですね」
「そうだね。まさかこんな早くに、しかも局で会うとは思わなかったよ。今日はどうしたんだい?」
「兄から書類を忘れたから届けてほしいと電話があったので…」


そう言って書類の入った封筒を持ち上げる。


「ああ、なるほどね。でも有馬ならさっき昼飯食ってたよ」
「やっぱり…そうだと思いました。よく人に頼み事しておいて本人忘れてるんですよね…まぁもう慣れたんですけど。出来れば直してほしいですよ…」


こっちは昼飯も食べずに届けに来たのに、と声をもらす。今にもお腹がなるのを抑えるようにお腹を摩っていると、篠原さんが「じゃあ有馬に届けに行くついでに食堂で食べていく?」と提案してくれた。これから仕事ではないのかと問えば、逆に今帰ってきたところだよ、と返された。少し疲れていたからゆっくり家で食べたいと思ったけど、折角の好意だし、家に帰っても食材がないことを思い出した。それに捜査官でもない私が食堂で食べるのは貴重な体験だろう。頷いて了承した。





食堂へ行くとちょうど昼食の時間帯ということもあって人が溢れていた。とりあえず席を確保しようとして周りを見ると、ぽっかりと不自然に空いている机があった。何故空いているのか不思議に思ったが、篠原さんがそこへ向かって歩いて行ったので後をついていく。


「よ、有馬。お客さんだぞ」


篠原さんの大きな背中から顔を出すと、カレーを頬張っている兄の姿。私の顔を見た瞬間、瞬きをして言った。


「あ、忘れてた」
「忘れたじゃないよ。大事な書類なんでしょ? ちゃんとしておかないとお兄ちゃん、いつか情報漏洩とかで捕まりそうだよ。しかも届けに来させたことまで忘れてるし…もうしっかりしてよね!」
「努力するよ」
「とりあえず落ち着こうかなまえちゃん」
「あ。はい」


まあまあ、と私を落ち着けようとする篠原さんと、特等である兄さんが高校生に怒られているという珍しい光景に驚く周りがざわめきだして、ハッと我に返った私。恥ずかしさから顔が熱くなる。


***

こんなところで終わりにしてごめんなさい!! でも続きが浮かんでこない! イメージ出来たら or 続きの提案いただけたら書きます!!!!

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