◎役者さんたちが合コンに参加せざるを得なくなったというシチュエーション。



「あ、それなら大丈夫だよーん!オレのイトコにチョーマジ合コンのカリスマいるから!」


電話かけてもいい?と聞く一成に監督が頷くとその場で電話を掛け出した。
しばらくプルルルルと呼び出し音が鳴ったあと、高すぎず低すぎない心地の良い女の声が聞こえた。


『もしもし〜? なまえだよ〜』
「おひさーなまえちゃん!カズナリだヨ〜」
『知ってる〜。んで、どーしたん? 電話とか初じゃない?』


「さすが一成のいとこってあって喋り方が似てるな」
「……血の繋がりを感じる」


何故か一成が電話をスピーカーにして通話しているので、その場にいる全員に会話が丸聞こえだ。


「アハっ!そーかも!
てかてか、なまえちゃん、夏休み空いてるー?」
『……ぼちぼち? なに、こっち来るのー?』
「逆逆〜!こっち来ない? チョーイケメンと合コンセッティングしちゃうよーん!」
『んーめんどい却下』


急にトーンが下がった女の声に雲行きが怪しくなってきたと察する。てっきり合コンのカリスマとかいうから乗ってくると思ったんだが。


「えー!! お願い!」

『だって私金欠だし…こっち来るならともくそっち行くとなると……なんか事情があるの?』
「そー! あのねー、」


それから一成は合コンを開くことにした経緯を説明していった。それはもう是非お越しくださいとばかりに。


『んで合コンの神と呼ばれる私に頼みたいと』


"合コンの神"?
なんだそら。団員、皆分からないようで首を傾げてる。
ただ一人、万里が「は? 噂のあれか……?」と呟いているのが耳に入った。…………噂?


「お願い! なんでもするから!」
『かずくんのお願いなら聞きたいけどー……行きたくない理由として2つ。』

『1つはまずお金がないの。金欠なの。お外用に服やらメイク道具やら買わなきゃだし、夏コミ用のコス作らなきゃだし、課金したいし。そっちで合コンってなると日帰りってわけにもいかないからホテルとらなきゃでしょ? そしたらその分諭吉さんがいなくなっちゃうし、安いところだとマイマミーが許してくれないし……ちょっと厳しめだよねー』


「なんか凄い最近聞き慣れたワードが聞こえたんだけど…」
「課金…」
「なんかすげー至さんと同類な気がする…」


『2つ目に』
『めんどくさい。』

『あのね、なんで私が合コンの神様って呼ばれてるか知ってる? カップルになれる確率が高いからなの。周りはさ、すごーいなんて言ってくるけどさ、私は早く家に帰りたいだけなの。スマホいじりたいだけなの。Wi-Fiが安定して使える場所に行きたいの。うだうだ二次会やらなんやらに付き合わされて、帰りが遅くなるのはごめんだから、適当に性格が合いそうな2人くっつけて「いい感じのところお邪魔しちゃ悪いから帰るね〜」って言って帰るの。つまり私は合コンに興味ない。イケメンがいようがなんだろうが、お外用の私を見て惚れられるのめんどくさいし、今彼氏持つ気ないから。だから今回の提案、魅力を感じません。お断りします』

「えー…」
『折角だけど他の人に頼んで? かずくんお友達いっぱいいるでしょー? 別に私じゃなくても大丈夫じゃない? っていうかごめん、今お腹空いてて機嫌悪いんだわ』
『 「なまえー、ご飯だよー!」』
『はーい! ごめんねかずくん、私もうすぐお夕飯だから切るね! バイバーイ!』


「監督チャーン…」


しょんぼりと元気をなくした一成は子犬のようなうるうるした目を監督に向けた。そんな一成に万里が話しかける。


「なあ、"合コンの神"って……」
「なまえちゃんの呼び名だよ〜。#ナマエ#ちゃんが参加した合コンには絶対カップルが出来るんだよ〜……だけど、まさかそんな理由だったなんて……」
「聞いたことあったけどカズナリのいとこだったとは気づかなかった
で、監督チャン。どーするわけ?」



***

一成のいとこで、『合コンの神様と呼ばれているが実態はゲーマー』な女の子設定。
役者たちが役作りのためかよく分からないけど、何故か合コンをしなくてはいけなくなってしまったというシチュエーション。あんまり具体的な詳細まで妄想出来なかったので断念。

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