綴は胸が好きだ。
そういうとエロい意味に聞こえる。そんな意味じゃないんだけど。でもたぶん事実。本人はきっと気づいてない。だって私の胸に顔を埋めてくるのは、いつも寝ぼけているときだから。

それから、膝枕をして頭を撫でられるのも好き。これは綴も自覚ある、というよりいつもお昼寝するときはこのポジション。本人曰く、なんだか安心するとのこと。


なんでこの体勢が好きなんだろ。

それは母性を感じるからなんじゃないかなって思う。弟と妹がたくさんいる綴はお兄ちゃんとして頑張ってる。それは劇団に入った今も変わらなくて。時間があればバイト入れて、その収入は家の生活費に回してる。
大学行って、稽古して、その上舞台の脚本まで書いて。そんな多忙な生活を送っていたらいつか綴が壊れちゃうんじゃないかって不安になる。

だから私は綴の拠り所になりたい。私が抱きしめてあげることで綴が癒されるならいくらでもしてあげたい。それしかしてあげられない不甲斐なさもないわけじゃない。でも綴は、なまえがいてくれるだけで幸せって言ってくれた。それだけで私の心に潜んでいた負の感情はどこかへ飛んで行った。私も綴がいてくれるだけで幸せだよ。そう言うと綴は照れてそっぽ向いてしまう。耳が赤いの丸見えだけどね。



* * *


「なまえ、4時半まで寝かして…」


たまにバイトも練習もないときに綴は私の家にくる。それでも働き者の綴は一日中休むということがあまりなくて、こうして少し休んでからバイトに向かうことも多い。


「うん、わかった。バイト?」
「そう、5時半から……」


目をゴシゴシ擦りながら返事をする綴は、普段より子どもで可愛い。擦り寄ってもたれ掛かってくるのは眠い証拠。眠くなるとお兄ちゃんキャラから甘えん坊さんになる綴に愛しさを感じる。太ももをトントン叩くと、綴は自然にそこに頭を乗せて私の腰へと腕を回す。お昼寝の定位置の完成だ。


「相当眠いんだね、おやすみ」
「おや…す、み…」


すぅっと目を閉じると同時に眠りにつく綴の頭をゆっくりと撫でる。いい夢見れますようにと願って。




title : 箱庭様より

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