ビーティング・キング | ナノ
▼ アヤコちゃんのお誘い
今日は湘北高校に通っている一個下のアヤコちゃんとカフェの予定だ。
アヤコちゃんはバスケ部のマネージャーで、湘北もまた海南に続いてインターハイ出場を決めたらしい。



「湘北もインターハイ出場するんだね」

「そうなんですよぉ!海南はすごいですよねぇ、17年連続なんて」

「うん……すごい記録だよね」

「うちも陵南もさすがの海南には敵いませんでしたぁ……残念ながら」

「でも今年の湘北は最強だ!って言ってたじゃない、アヤコちゃん」

「最強問題児軍団ですけどねぇ。インターハイでは負けません!」



ふふ、アヤコちゃん楽しそうだな。
バスケの話しをする時のアヤコちゃんって、ちょっとだけ牧くんに似てる。
すっごくバスケが好きなんだろうな。

……って、ダメダメ!
牧くんのことは忘れるの!
考えちゃダメダメ!



「海南は牧さんがいる限り不動でしょうねぇ」



突然発された名前にドキリと心臓が嫌な音を鳴らす。
考えていただけに不意打ちされた気分……



「あ!」

「え?」

「そういえば、今週の土曜日に海南と湘北が練習試合するんですけど、よかったら見に来ませんかぁ?」

「私が?」

「だって名前さん、牧さんのこと好きなんでしょぉ?だったらプレー見れるチャンスじゃないですかぁ!」



う……そういえばアヤコちゃんは私の気持ち知ってるんだった。

私は渋々近況を報告し始める。
話し終える頃には……なんかまた泣きそうになって来ちゃった。

アヤコちゃんは全部聞き終えると、バンッとテーブルを叩いて立ち上がる。



「諦めちゃダメですよっ!好きな女がいるからって諦めることなんかないですよぉ!」

「んー……」

「それにもしかしたらその好きな人って名前さんのことかもしれないじゃないですかぁ!」

「それは……ありえないよ」

「そうやって決めつけちゃダメですって!」

「……」

「とりあえず土曜日、湘北高校の体育館に来て下さい!」



じゃないと名前さんのこと湘北のバスケ部に言いふらしちゃいますんでぇ!……って。
……アヤコちゃんったら。

土曜日、か……
バスケは興味なんかないのに……牧くんのプレーが見れるなら――そう思う私はなんて現金なんだろう。
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