ビーティング・キング | ナノ
▼ 牧くんのお友達
待っている間の1時間、何をやるんだ?という質問に本でも読んでようかなと答えてみる。
それだったらバスケ部を見に来ないか――という牧くんのお誘いに私は心臓が飛び出る寸前だった。

何で今日はこんなにいい日なの!?
ようやく神様も私の味方をしてくれるようになったの!?
明日死んでも後悔はないっ!!!

冷静を保って二つ返事で牧くんの後を追って体育館へ入って行けば予想通り部員達が練習をしている。
牧くんの姿に気づいた部員達は一斉に挨拶をしている。
ざっと5、60人くらいかな?
こんなにたくさんの部員をまとめているなんてすごいなぁ……さすが。

着替えてくる、と言い残した牧くんは私をベンチに置いてとっとと行ってしまう。
あろうことか高頭先生までいるし……



「あ、あ、あーーー!」



突然目の前にやってきた男の子が、目が合った瞬間叫び出す。

……は!?
誰この子!?
しかもなんで人の顔見るなり叫んでるの、失礼な!



「せ、せ、せ、んぱい!?苗字先輩!?」



何で名前も知ってるの!?
もしかしてストーカー……?



「こら、突然失礼だろ。ノブ」

「で、でも、神さん!」

「牧さんに怒られても知らないよ」

「それは勘弁っすよ〜!でもやっぱり、生苗字先輩……すっげー!」



な、なんだ……誰だ……?

一人は失礼なやんちゃっ子。
もう一人は大人しそうな白い肌の子。

どっちも見覚えないし、知らないんだけど……!



「ノブがうるさくてすみません」

「い、いえ……」

「バスケ部の見学ですか?」

「は、はい……牧くんが、その、誘ってくれたので……」

「さすがだなぁ、牧さん!俺が尊敬するだけのことはあーる!」

「だからうるさいよ、ノブ」

「だって神さんばっかり喋ってずりーっすよ!」



……元気だなぁ、この子。
ノブと呼ばれる男の子は、もう一人の白い子の注意にぶつくさ文句を言っている。
白い子は落ち着いてて……うん、ノブくんよりはマシ。



「俺、一年の清田信長っていいます!」

「僕は二年の神宗一郎です」

「ご丁寧にどうも……私は、」

「苗字名前先輩!バスケ部のマドンナっすからみんな知ってますよ!!!」



バスケ部のマドンナ!?
なんなのそれ!?
バスケ部で知ってるの牧くんだけなんですけど!
訪問だってしたことないのになんでみんなが私のこと知ってるの……!?

……怖い。
怖すぎる。
個人情報の出回り怖い……!

初めてのバスケ部訪問で出会ったノブくんと神くん……要注意。 prev / next

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