ビーティング・キング | ナノ
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「やっぱり美人っすね〜!」

「……」

「俺、一生分の運を今日で使い果たしちゃうかもしれないっす!」

「……」

「もしよかったら牧さんに内緒で今度――」



ゴッツンッ



「いってぇ!!!」

「あーあ、だから注意したのに。完全にノブが悪いよ」



目の前には仁王立ちしている牧くん。
その牧くんがノブくんの頭をゲンコツした。
横で呆れている神くんのため息が聞こえてくる。

……私は見た!
一部始終を全部見てしまった。
あの温厚で有名な牧くんが部員をゲンコツした……!?

びっくりしすぎて口があんぐり。
目をパチクリと何度も瞬きさせる。
……が、痛がっているノブくんがいまのが現実だってことを示している。



「コラ、清田!遊んでないで練習しろ!」

「げっ」

「げ、じゃない」

「少しくらい苗字先輩と喋らせてくれたっていいじゃないっすか〜……」

「3秒以内にコートに戻らないと次の試合はベンチにする」



牧くんの言葉に血相を変えてノブくんはコートに戻っていく。



「じゃあ僕も練習に戻ります」

「ああ」

「ベンチスタートは嫌ですからね」

「懸命な判断だな」



牧くんが戻ってくるなりすごいな……
これがキャプテンの威厳というもの……?

それにしても嵐みたいに二人ともいっちゃったけど、なんで私のこと知っているのか聞くの忘れちゃった。
さっきのセリフ、どういう意味だったんだろう。
んーもやもやする!



「大丈夫か?」

「え?」

「百面相してるぞ」

「ひゃ……ひゃくめんそう……!?」

「クックッ、すごい顔」

「ひ、ひどい!女の子に百面相だなんて……!」

「わるいわるい、冗談だ」



ひゃくめんそう……
そんなひどい顔を、まさか牧くんに見られるなんて一生の不覚だ……

ガックリ肩を落としていると、



「二人に変なこと言われなかったか?特に清田」

「……」

「ん?どうした?」

「な、なんか……二人とも私のこと知ってて、」

「……」

「私の情報がバスケ部で広がってるみたいなんだけど……」

「……」

「……な、なんで、だろう」



っていうか牧くん、顔!
顔怖い!

私の言葉を聞いた牧くんは気にするな、と言ってコートへと行ってしまった。 prev / next

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