それでもそばに | ナノ
▼ 好きだと言って
「あっ、」

「クっ、」



スプリングの軋む音。
欲望に満ち溢れた喘ぎ声。

ギシギシとベットが揺れるたびに愛の深さが少しずつ増えていくような、減っていくような、変な感覚だった。

繋がれば繋がるほど幸せで嬉しいはずなのに。
もうすぐ目の前まで迫っている別れを目の当たりにするような。
……なんとも言い表し用のない感情でいっぱいになる。



「あ、んっ」

「名前、さんっ、締め過ぎだって……」

「え、じ」

「、名前」

「え、いじ」



一旦動きを止めて見つめ合う。
暗闇に光る二つの瞳。

握りしめていた手にギュッと力がこもったのがわかった。
暗闇の中でもわかるくらい、栄治の瞳は悲しみに揺れていた。


寂しいのは私だけじゃない。
悲しいのも私だけじゃない。
辛いのも私だけじゃないんだ。

栄治も……同じ気持ち、ううん、……本当は私以上なのかもしれないね。



「名前さん、」

「ん?」

「好きだよ」

「……」

「どうしようもないくらい好きだ」

「……」

「こんなどうしようもなくて、自分勝手な俺と三年も一緒にいてくれて感謝してる」



笑ってるつもり?
それで、笑顔の……つもり、なんだろうか?

全部見えてるのに。
見えてるけど今は、もう少し栄治の言い訳を聞くことにする。

……じゃないと私、泣いちゃうかもしれないから。



「付き合った当時からバスケしか頭になくて、バスケ優先ばっかしてきて、名前さんには嫌な思いを沢山させた」

「……」

「ごめん」

「……」

「でも名前さんと一緒に過ごした3年間は、17年間のバスケ人生と同じくらい大切だから」



気のせいかな?
栄治の声が少しだけ震えていて、

それで……聞こえた気がしたの、



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