▼ イケナイ秘め事
「んっ……」「かわいいなぁ」
「も……むり、」
「無理じゃないでしょ?」
「せ、んど、くん……」
「なに、名前さん」
額
唇
首
鎖骨
胸元
ゆっくりと味わうように彼は身体中に口づけを落としていく。
会議室の机の上に座っている彼は、更にその上の自分の膝に私を置く。
至近距離で見つめる瞳は挑発的な色をしている。
「ここ、会社……だから」
「でももう何度もシてるよ」
「そ、それはっ」
「それに名前さん、我慢できるの?」
「……」
「欲しいんでしょ?俺のこと」
「……」
「それとも新しく広告塔に加わった新人の方がよくなった?」
はだけた胸元に唇を寄せ、チュッと強く吸い付ける。
チクリと一瞬の痛みが走った後、同じ場所には紅い花が咲いた。
彼はスカートの中に入り込んでいたシャツを外に出すと、その間から手を滑り込ませる。
背中で下から上に上下する手にゾクゾクと身体が反応する。
漏れそうになる声を抑えるために唇を結ぶと、彼のキスがそれを許してくれなくする。
「声、我慢しないで」
「でも、ここじゃ、」
「鍵かけてるから誰も入ってこないよ」
「……」
「かわいい顔、見せて」
クルリと一瞬にして体制を反転させられ、私の身体は机の上に仰向けにさせられた。
彼の手は身体中を弄(まさぐ)るように動き続ける。
私は、抵抗をやめた。
元々抵抗する気だってなかった。
ただちょっと体裁上、会社でこういうことをするのは……ってだけ。
そんな私を、彼は知っている。
知っている上で試して、挑発するんだ。
彼は……そういう男だから。
「好き」
「んっ……」
「名前さん、好きだよ」
「せん、どー、くん……」
「今だけは俺のこと見て」
そう言った彼の声を遠くに感じながら、私たちは共にイき果てた。 prev / next