君がほしい | ナノ
▼ 流川楓という選手
この間の国内リーグの決勝戦。
優勝したのは流川くんの所属するチームだった。
その話題のおかげで来月号の月刊バスケとボールに特集記事を組むことが決まった。

別の選手たちの写真やインタビューを終え、再びスタジオに戻ってくる。
……が、今日も問題発生。

あれだけ昨日電話していったのに!
絶対遅刻しないでね!って。
時間厳守でお願いね!って頼んだのに。

……聞いてなかった、なんて言い訳じゃ済まないよ。
流川くんははどこにいるんでしょうか。
まだ眠りの中ですか?

もうため息止まんない。



「部長、すみません……」

「ったく、流川のやつ」

「私、もう一回電話してきます」

「どうせ寝てるから気付かんだろう。それより来月号のレイアウトでも決めておくか」



流川 VS 仙道
直接対決の行方は――?

今年の国内リーグは注目度も話題度も過去一番だ。
今の時期だけでいったら、多分バスケットボールがスポーツ界で一番人気といっても過言ではないだろう。
うちの会社の半分くらいは、仙道くんと流川くんのおかげっていっても強ち間違いではない。
……流川君に至っては、遅刻癖がなければパーフェクトなのに。


今日も一時間遅れでやってきた流川くん。
重役出勤もご苦労なことだ、と嫌味を言えばふんっと鼻で文句を言われてしまった。



「その遅刻癖、どうにかならない?」

「朝が、はやい」

「早いっていってももう11時だよ」

「……」

「試合が朝からの時はどうしてるの?」

「寝ながら行く」

「……」



だめだこれは。
話にならない。

隣に立つ牧部長もさすがに苦笑いの様子。



「次遅刻したら、ギャラ減らすからな」

「……む」

「嫌だったら苗字に迷惑かけないように時間通りにこい」

「……できるかぎり、がんばります」



あんまり信用性ないけど……部長から直々に釘刺されたんだからさすがに次回は遅刻しないでほしいもんだ。

インタビューが始まってからも、私と牧部長は傍で流川くんを見守っていた。
私は逃げ出さないように監視役のつもりだったんだけど、牧部長は単に興味があったみたい。
前も流川くんがインタビューに応じるのは珍しいことだ、っていってたもんね。
でも今回も一応オファーは受けてくれたけど……



「流川くん……顔が、」

「四六時中眠そうな顔してるな」

「プレーしてる時はかっこいいんですけどね」

「この間の試合観たのか?」

「ええ、まあ」



……最後の数分だけ。



「アイツのプレーは上手いだけじゃなくて迫力もあるからな」

「最後にダンクをドッカンと決めてましたもんね」

「ああ」

「苗字も機会があったら試合を観に行くといい」

「そ、そうですね……」

「やっぱり肌で感じるのとは違うからな」 prev / next

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