君がほしい | ナノ
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「せ、せんどうくんっ」

「ん?」

「こ、ここ、会社!の、廊下!」

「そうだね」

「こんなところでダメだよっ」

「まだ何にもしてないよ」

「じゃあ、何でこんなに近いの?」

「名前さんの顔がよく見たいから」

「……」

「ついでにキスもしたいから、かな」



仙道くんは周りの様子を気にすることなく口付ける。



「牧さんに触れさせた罰と、」

「んっ……」

「流川のことを考えてた罰」

「……あっ、」

「お仕置き」



首筋にザラリとした舌が這う。
身体にゾクゾクとした感覚が走った。

思わずユニフォーム裾ををキュッと握ると、仙道くんは満足そうに口角を上げて微笑んだ。



「今日は20時には終わるから」

「……」

「夕飯はうちで一緒に食べよう」

「……」

「ロールキャベツが食べたいな」

「……」

「いい?名前さん」

「……うん」



先にスタジオに戻っていく仙道くんの背中を見つめていた。

いつ誰に見られているかわからないスリル。
彼との行為全てに抱く快楽。

……いつになったら抜け出せるんだろう。
ううん、一生抜け出せないかもしれない。

絶対にノーとは言えない彼の無言の威圧感。
笑っているけど笑っていない瞳。
人一倍独占欲の強い、仙道くん。



「キャベツとひき肉、買って帰らなきゃ……」



彼のリクエストのロールキャベツを作るために。
……この前も作ったけど。




私たちのイケナイ関係。
イケナイ秘め事。

――絶対に、誰にもバレちゃいけない。 prev / next

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