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一瞬の隙をついて、仙道くんがキスをしてきた。……まだ食べ終わってないのに。
「妬いてる?」
「妬いてないよ」
「そっか」
何にもないよ、とも、
何かあるよ、とも、
彼は教えてはくれなくて、でもそれが私に許された特権でないことはわかっていたからこっちからも何も言えなかった。
「俺は妬いたよ、牧さんと流川に」
「……あっ」
「ん?」
咄嗟にお昼に二人が帰った後のことを思い出した。
報告書を書いている時に流川くんが戻ってきたこと。
私達の関係がバレてしまっていること。
お昼の一部始終を説明すると、さすがの仙道くんも予想していなかったようで驚いた表情を浮かべていた。
「あの流川がねぇ」
「どうしよ……」
「まあアイツなら大丈夫だよ。名前さんのこと脅したりはしないから」
「脅す!?」
「いや、ほら、黙っててほしかったら〜とかよく聞くセリフ」
「ああ、うん……ならいいんだけど」
おっとりしててボーッとしてそうなのにね。
まさか一番最初にバレたのが流川くんだとは私も予想しなかった。
「……んっ、せんど……くん」
「流川のこと考えてる?」
「か、んがえて、ないっ」
「ウソ。俺、名前さんのことなんでも分かるからウソついても無駄だよ」
キスをしながらトンッと肩を押されて、そのまま床に押し倒される。
仙道くんは持っていた箸を置いて、あろうことか馬乗りで跨ってきた。
「ご飯休憩」
「ロールキャベツ、冷めちゃうよ」
「あっためればいいよ。それより名前さんが食べたくなった」
そう言って仙道くんは自分の着ている服を一気に脱ぐと、私の服に手を掛ける。
ひんやりとした手が背中で動き回った後、パチンとブラのホックを外す。
身体中の隅々に唇を這わせ、丁寧にキスを落としていく仙道くん。
どんどん下降してようやく私の下腹部にたどり着く。
濡れているのを指で確認した後、ニヤリと意地悪く弧を描く口が私の瞳には映った。
「ほしい?」
「う、んっ」
「じゃあ、ねだってみて?」
「せんど、くん……挿れ、て」
ロールキャベツ男子――外見は草食系男子だけど、中身は肉食系男子のこと。
ここに一人、該当者発見。 prev / next