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……すごい人の数。
私が着く頃には試合会場にはすでにたくさんの人が集まっていた。

神奈川県予選決勝リーグ最終日

第一試合
海南大 対 武里
第二試合
湘北 対 陵南

あちこちから聞こえてくる声は、両試合に対する期待の声ばかりだった。
その中でもよく聞こえてきたのは――



「湘北の流川ってあの海南大の牧と互角にやりあった奴だろ?」

「おう。陵南の仙道もいい勝負だったし、今日の試合はエース対決に期待だな」

「やっぱり仙道だろ!」

「いーや、俺は流川だと思う!」

「とにかくすっげー試合になることは間違いないな」



湘北の流川くんと陵南の仙道くん……
聞く限りはかなり接戦した試合になるみたい。

会場に入っても聞こえてくる話題は同じようなものばかりだった。
第一試合の海南大は主力メンバーはすでにベンチに下がっているにもかかわらず、尚リードしていてほぼ勝ちは間違いないらしい。

湘北の応援側に着いて、とりあえず驚いたこと。
……それは――



「RU・KA・WA、RU・KA・WA!」

「L、O、V、E、RUKAWA!」

「流川くん頑張ってー!キャー!」



……でた、親衛隊。
チアリーダーみたいな格好で流川くん専用の応援団。
更にその横には――



「みっちゃーぁん!」



”炎の男、三井寿”と書かれた垂れ幕を振っている、



「堀田くん!」

「名前ちゃん!どうしてここに?みっちゃんの応援に来てくれたのか!?」

「うーん、ちょっと違う。湘北の応援」

「そっかー。お、メンバーが出て来たぞ!」



両校のメンバーが続々と出場してくるところだった。
スターティングメンバーの発表中は、とにかく四方八方から歓声ばかりが聞こえてくる。

流川くん、人気ありすぎ……
親衛隊の熱烈ぶりといったらそれはそれはすごいもので。
味方だとわかっていてもこっちの方が気後れしてしまいそうだった。

バチッと目が合う。



「(がんばれ)」

「(うす)」



試合開始のホイッスルとともに湘北にとって最後の決勝リーグの試合が始まった。

前半は両チームとも一歩も譲らない攻防が続く。
寿のスリーポイントに赤木くんのダンクが目立つ。
流川くんは相手の7番、仙道さんのきついマークにあって中々決められない。

しかし、後半に入ると流川くんがまるで別人のような活躍をしていた。
相手の4番がフォーファールでコートを出て行くと湘北が少しずつ点差を開いていく。
7番とのマッチをすごく楽しそうにプレーしているような気がした。


『先輩とおれは違う』
『バスケとおれは別モンだ』

なぜこのタイミングなのかはわからない。
前に流川くんに言われた言葉が頭の中でフラッシュバックした。


『好きだ』

まっすぐに気持ちをぶつけてくれた流川くん。


『おれと付き合え』

嘘偽りのないセリフ。
私の心を貫いたそのセリフは、流川くんだったからだろう。
流川くんだったから私の気持ちを動かせたんだと思う。



……この試合が終わったら、伝えよう。
私の想いを、流川くんに。 prev / next

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