ずっと前から好きでした!私と模擬戦してください! | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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「急に押しかけて悪かったな、俺はB級隊員の村上鋼。鈴鳴支部に所属している。こっちは…「…影浦。」影浦雅人。B級2位、影浦隊の隊長だよ。」

「は、はい!はじめまして、私はC級…あ、今さっきB級になりました!一ノ瀬ゆきです!!」

少し返事がガチガチになってしまったのは許してほしい。だって緊張するよね?毎日のように記録で見てた人達だよ…いや緊張するよ…。


「カゲのSEが発動しなくなった?ってくらいC級ブースが盛り上がってたからちょっと見に来たんだ。すごいざわついてたけど、えっと、一ノ瀬さんが来るといつもこんな感じ?」

「あ、呼び捨てで大丈夫です!さん付けなんてとんでもないです!…いや、あの、実は今日初めてブースに行って私も対戦に夢中になってたので、4000超えるまでお恥ずかしながら外の様子に気がつかなくて…」

そこで、ずっとそっぽを向いていた影浦さんがギョロリとこちらに目を向ける。村上さんも静かな迫力があるけど、影浦さんはホントに迫力の塊だなぁ。こういうのも遊真くんを楽しませる一つの要因なのかな。くぅぅ、かっこいいな!!


「あ?1日でBに上がったってか?…へぇ、ちょっとブース入れよ。もっぺんCに落としてやる。」

「カゲ…お前はまた……、」

「いえ!!まだ私じゃ全然、影浦さんの遊び相手になれないので!もっともっと強くなったらそのときけちょんけちょんにしてやってください!!」

断ってから少しだけ後悔した。まだまだ全然相手にならないから遊び相手にもならないだろうけど、目標の人と戦ってその強さを知っておいてもよかったかもしれない。
こんな強い人と戦う機会、めったになかったかも…。


「………。」

「……ははっ!ホントにおもしろいな。どうだ、カゲ?あれだけ憎まれ口叩いたら、さすがに"ふわふわ"は消えたか?」

「…ぜんっぜん消えねぇ。マジでなんなんだ…コイツ。」

「?…あの、申し訳ないんですけど、その、ふわふわ?の消し方がわからなくてどうすれば…。…ふわふわは、影浦さんのSEに関係してるんですか?…って、影浦さんSE持ちですか!?すごいですね!!!確か、トリオン能力が高い人でも一握りの才能ですよね!?わぁあ…初めて会いました!!!あ、握手してください!!」


まさかの影浦さん。SEあるってよ。うそ、すごすぎない?遊真くんを楽しませる人はSEも兼ね備えているのか…さすがすぎる…。


「あ"ーー!!クソ、ふわふわがさらにふわふわになりやがった……!こんなクソ能力、褒めてんじゃねーよ!!」

「…っ今日の、カゲは、本当におもしろいな…っ、あぁ、笑い死にしそうだ。カゲがこんなにペース崩されてるの、初めてなんじゃないか?ふわふわとか言うし、…っふ、あとで荒船にも伝えよう。」

「…よォし、やっぱテメェからブース入れや、鋼。ぶった切ってやる。」

「まあ待てカゲ。…カゲのSEは感情受信体質って言って、カゲに向けられた感情が肌にチクチク刺さるらしい。負の感情ほど不快に感じるらしいんだけど…一ノ瀬のはかなり違った刺さり方みたいだったから…っはは!ふわふわって、それ刺さっているのか?随分気持ち良さそうだな。むしろ居心地いいんじゃないか?」


「……うるせー。…慣れねぇんだよ。クソ…おい、…一ノ瀬、テメェ俺に向かってなに考えてた。」



「えっ、その、実は記録で、影浦さんも村上さんも、よく参考にさせていただいてて、その、今の目標と言いますか!私のなりたい未来像と言いますか!その、お2人には特に憧れてて、私も、こんな風にゆう…ゴホン!こんな風に強くなりたくて!!!だからその、記録越しに見てた人たち2人にいきなり会えて、光栄と言いますかなんというか!!「待て待て待て、落ちついてくれ。」

「…?はい、どうかしました…か、って、」

「…カゲが限界みたいだ。…ちなみに俺も、少し照れくさいから、そろそろ勘弁してくれると助かる…。」

「……消えてぇ…。」


気づけば先ほどとはまた違う目で周りからジロジロ見られていて、

影浦さんは自分の顔を大きな片手で覆い、下を向いてため息を吐き、村上さんも頬がほんのりと赤く染まっていた。


初対面の人に何を言った?わたしは。

2人につられてじわじわと私の顔も赤く染まった。





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