ずっと前から好きでした!私と模擬戦してください! | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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近くにあった公園のベンチに腰を下ろす。

チラリと隣を見ると、遊真くんもこちらを見ていた。


「な、ユキちゃん。……おれの話、聞いてくれるか?」


少し寂しそうな表情をする遊真くん。珍しい表情に、きゅう、と胸が痛くなりながらもコクコクと頷いた。


そんな私の様子に、ふ、と笑いながら、目線を下に落とす。その拳は、硬く握り締められていた。


「……いつだって、悲しいのは置いていかれる方だ。おれは、ユキちゃんを、その立場にしたくない。

……ユキちゃんには、笑っていてほしいんだ。ユキちゃんが笑ってさえいれば、…その隣は、おれじゃなくたって、構わない。」


ぎゅう、と心臓を鷲掴みにされたように、生きた心地がしない。遊真くんを見つめていた視線が下に落ちるのに気づきながら、もう一度遊真くんを見上げることは出来なさそうだ。目頭が熱くなるのを感じながら、黙って話を聞いていた。



「……そう、思ってたんだけどな。…この場所は……ユキちゃんの隣は、ずいぶん居心地がいいんだ。」


ボソリと呟かれた、少し掠れた声に驚き、つい顔をあげてしまった。

私を見つめる遊真くんと目が合う。

その顔は少し照れているようにも見えて、そんな彼にたまらない気持ちになる。そんなの、私だって、私のほうが、



「わ、わたしは…っ、遊真くんの隣にいる、今が一番好き…っ、何に対しても本気になれなかった私が、本気でがんばろうって思えた、唯一の人なの…っ、遊真くんがいい、遊真くんが、大好きなの……。」

「…ユキちゃん。」

「未来ことなんかより、今、いま、私を幸せにしてくれるのは、遊真くんの存在なの、遊真くんのおかげで、わたし、今、最高に楽しいんだ…っ、ねぇ、好きだよ、遊真くん。今までも、これからも。"私"を作ってくれるのは、遊真くんなんだよ…。」

「……ユキ、」




拙い表現ばかりのこの想いが、どうか伝わってくれないかと遊真くんの手をとり、ぎゅう…っと握りながら伝えた言葉。


遊真くんの手を握る私の手がゆるやかに解かれ、逆に遊真くんの手の中に、私の手がすっぽりと収まった。

思わず遊真くんの顔を見上げた。







「……好きだ。」



赤い瞳に映っていたのは、紛れもなく私。
一瞬遅れて、その愛の言葉が私に向けて発せられたのだと理解した。





「おれの人生で、唯一の恋人になってくれ。」




私の気持ちなんて分かっているはずなのに、ぎゅう…と握りしめられた手から遊真くんの誠実さ、真剣さが、たくさん伝わってくる。

言われた内容があまりにも私に都合が良すぎて、理解しているはずの言葉を何回も咀嚼する。ほろりと頬を流れる雫を感じながら、遊真くんをただただ見つめた。



「…長くない命だけど、おれがユキちゃんのこと、幸せにしたいんだ。……答え、聞いてもいいか…?」



答えなんて、考えるまでもない。
ボロボロと流れる涙から上手く言葉が出てこず、首をコクコクと振った。

そんな私に口もとを緩め、少しだけ笑う遊真くん。あぁ、本当に、かっこいい。好き、大好き。



「…は、い…っ、…わたしを、…っ、遊真くんが息をしている、最後まで、私を、遊真くんの大切な人にしてほしい、です…っ、」



握られた手が解かれる。そのまま背中にするりと腕を回され、力強く遊真くんのもとへ引き寄せられた。

そっ…と私も、震える腕を遊真くんの背中に回すと、くすりと笑う小さな声色が耳に響き、カアァ…と顔が熱くなる。なんだか恥ずかしがってることが恥ずかしくなり、思い切ってぎゅうっ、と遊真くんに抱きついた。

それに比例するように、遊真くんの腕の力も強くなる。心臓の音が脳に直接響いているようで、ドキドキと落ち着かない。





「…おれを好きになってくれて、ありがとう。」





私の方こそ、ありがとう。

再び流れ出した涙が止まったとき、そう言いたいなと、心から思った。
















ずっと前から好きでした!私と模擬戦してください!




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