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02



朝起きて、登校して、帰宅すると掃除洗濯買い出し炊事。
一人暮らしだとやらなければいけない事が一気に増えた。
これに加えて宿題という勉強。
慣れない事ばかりで疲れきってしまって、毎日熟睡だった。
毎日家族全員分の家事炊事をこなしていた母親を改めて尊敬した。
母親って凄い。

一日があっという間に終わってしまってやりたい事が何も出来ずにいたのだが、それが夏にもなると体が慣れてくるらしい。
自分の時間が作れるくらいの日常が戻ってきていた。
時間が出来たらやりたいと思っていたのはアルバイトである。
収入はあるに越した事はない。
仕送り金でも充分だが、今から働いて貯金をしておきたかった。
少しでも有意義な生活を送りたい思いもある。
社会勉強にもなるだろうし、マイナスになる事がない。
テスト期間が近いし今から始めるのは無理だが、夏休みなら時間も出来るし丁度いい。
きっと夏休みいっぱいでバイトにも慣れる事が出来るだろう。
初めてのアルバイトに不安もあるが、楽しみの方が大きかった。
ドキドキよりワクワク。
待っていられなくて、どこで働こうかと求人募集と睨み合った。

結果、私はファーストフード店で働く事になった。
家から学校の間にあって、交通面で大変有り難かったのだ。
テストが終わって広告を眺めていたら見付けた所で、すぐさま電話して面接の日取りを決めてもらった。
受験とはまた違った緊張感を持って挑んだ面接には無事合格。
よろしくお願いしますと挨拶をして出た日の家路はとても気分がよくて、自分で自分にケーキを買って帰った。
その後発表されたテスト順位もまずまずといった所。
高校生活の出だしは良好だった。

アルバイトの初出勤は明日。
早く仕事場に慣れたい。
その為には働けるだけ働かなくては。
アルバイトと学業の両立を心に誓って、夏休みに思いを馳せた。