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世界は君で輝いている



黒子のバスケ、伊月


高校2年生の冬。
あの日、俺は君に伝えられなかった言葉がある。

あの時の俺はまだ子供だったから、君の手を握るだけで精一杯だった。
でも、今は違う。
もう俺は子供じゃない。

「俊、見て!凄く綺麗!」

なまえはあの日と同じように観覧車から地上を見下ろしている。
眼下に広がるのは光に包まれた幻想的な風景。
その輝きに反射するように、なまえ自身もキラキラと輝いていた。

「なまえ、大事な話があるんだ」

観覧車が頂上に近付いていく。
俺はなまえの隣に座ってから、その白い左手を握った。

「月が綺麗だね」

あの日と同じ言葉。
今度は照れ隠しに月を指差すことなんてしない。
この言葉が俺の全てだから。

「なまえがこの景色を見て綺麗だと言った。でも、俺にとってはなまえが居るからこの景色が綺麗に見える。…そう、思ってるんだ。」

薬指に指輪を嵌める。
色白の手に輝きが増える。
それは星空でもなく、地上の輝きでもなく、俺自身が与えた輝き。

「俺と、結婚して下さい」


観覧車が頂上に達する。
空に1番近いこの場所で誓いのキスを交わした…


「勿論…私を、俊とずっと一緒に居させて下さい…」

なまえの瞳から一筋の涙が零れていく。
その綺麗な涙はまるで真珠みたいだと思った。

……この輝きより、なまえの方が凄く綺麗だよ。

そんな風に思える俺は、世界で1番の幸せ者だと、そう思ったんだ。



世界は君で輝いている

君の存在が俺の幸せ。
それは永遠に輝きを放つ愛しい光を手に入れた瞬間だった。

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「うさぎの絵本」Luca様より、前作「世界は君で溢れている」の続編を頂きました。
素敵なお話をありがとうございました。