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 02.I know




俺は、知ってる。

アンタがいつも朝は食べないってこと。
一人暮らし始めてから食べなくなったってこと。
だけど毎朝、濃いめのコーヒーは欠かさないってこと。
朝のコーヒーはスタバのじゃないと調子出ないってこと。
そのスタバの朝のシフトに入ってる女がアンタを好きだってこと。
それ分かってて、その気もないのに毎朝その女からコーヒー受け取る時に、必ず「また明日」って言ってるってこと。


知ってるよ。
アンタって結構、見かけどおりにしっかり遊んでそうだよな。

・・・って、トイレでたまたま二人っきりになったから言ってみた。

初めまして猿飛さん。
隣のフロアの主任やってます、伊達ですよろしく。


ああ、君が噂の


って言われたけど、どうせガラ悪いとか、眼帯が不気味とか、そんな感じだろ?噂ってさ。
なんてことは聞かなかった。
聞いても何の得にもならないって、俺知ってるし。
そう、知ってるし。

あんまり不審に思わないでくれよ?
全部、うちの課の女社員が騒いでるの聞いただけだから。
アンタ、うちのとこじゃ結構人気なんだよ。
ああ、そう、それそれ。
想像通りだ、その興味なさそうな顔。
アンタってさ、他に女いるか女に興味ないか、どっちかだろ?


…とは聞かなかった。
さすがに聞けなかった。
聞けなかったのに、勝手に教えてくれた。


心配しなくても、オレは女の子には興味ないよ。


心配ってなにが。
えっ、誰が。
いつ、一体、どんな心配したって??
それはちょっと、知らない話だ。


オレも、知ってるよ。
いつもオレより少し早くにコーヒー持ってスタバから出てくること。
月曜日だけ、サンドイッチも一緒に買ってること。
スタバの女の子が本当に好きなのは、オレじゃなくて伊達さんだってこと。
一人暮らしで、彼女いなくて、

…で、最近ちょっと気になる人がいる。


はじめまして、伊達さん。
その気になる人になってるといいなって思ってました、隣のフロアで課長やってます猿飛です。
明日は5分早めにスタバ行きますね、どうぞよろしく。






END

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