Short-SxD- | ナノ

 02.感情リセットボタン



ずっとずっと、これが欲しかったんだ。

出来上がる筈もなかった感情。
何かの拍子に弾けるみたいに、急にこれが必要だって思っちゃったんだ。
我慢できなくて我慢できなくて、その誰にも許した事なさそうな体に触ったら、どんな顔するんだろう、とか。
この人がされたこと無いような、優しい撫で方をわざとしてみたらどんな風に感じるんだろう、とか。
湿ったような甘ったるい声で囁いたら、どんな声で返事するんだろう、とか。

舐めたら、押さえつけたら、突いたら、掻き回したら、逆にこっちがイイ声出したら。


どうなっちゃうのか、ずっとずっと、ずっと、気になってた。



ただ鋭いだけだと思ってた目つきは、ココじゃとろとろにふやけてる。
ギラつく冷たさも、敵意をのせた視線も、今はうっすらぼやけてて…たまに一筋零れて落ちる。
それを掬って微笑みかければ、余裕見せてんじゃねえ、もっと来いよって焚きつけられる。

余裕なんて。


余裕なんてあるわけないじゃない。


この掌はいつだってアンタを終わらせられる。
その手で抱いて、啼かせて、ねだらせて…ああ、こんなに乱れてるとこ、見れるなんて。

もっと来なよ、こっち来なよ

辛そう、ちょっと急ぎ過ぎちゃった?
息出来なくて苦しそうだね。
でもごめん、真っ赤な舌が誘ってきてるんだ、その唇塞いでもっとイイ顔見たい。

我慢できなくて、我慢できなくて、余裕なんて微塵もなくて。




あの夜から、剥がせない鎖に捕えられてた。




今日も約束、守れそう。
行くからねって、鴉飛ばして知らせておいたから、きっと今日もあの部屋で待ってる。
何度も肌を合わせて、熱い息で満たしたあの部屋で。
今日はいつもより格段に到着が早かったから、驚いてくれるかな。
長く居られるの、喜んでくれるかな。
素直じゃないから、きっとそんな事言わないね…でも啼かせついでに言わせる、絶対言わせる。


冷たい壁に背中押しつけて、逃げられないように両腕で囲んで、掴まってきたら肩から脱がせて。
ぴくってなるから首筋舐めて、そのまま腰にまで、あしあとつけて。

ほら、まだまだこれからでしょ。

ああ、やだな、またハマってる。
お願いだから、そんなに煽らないで。
際どい所で抑えてる理性ってのが、俺様にもちゃんとあるって、わかってる?
外していいなら遠慮しないよ。






どうせ朝日に消される感情


わかってるよ、だいじょうぶ。





END

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いただいたお題:「忘れ去られた時間」


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