▼ 後編
引き締まったその身をかがめて、立てた佐助の膝に口づけをおとす。
目を伏せたまま内腿まで舌を這わせる表情は、毒でしかない。
通った道筋が冷えて、しかしそこだけが熱い…そんな不思議な感覚を引き起こされて、政宗の愛撫に溺れて行くのがよく分かる。
余裕があるうちに…と、仰向けに肘を付いていた佐助が体を起こして、政宗の腰を掴んで引き寄せたかと思うと、自分に跨らせるようにして体を反転させた。
「なっ…!?」
「いいから続けて?ちゃ〜んとその間に、こっちも遊んであげるから」
「こんな恥ずかしい真似できるわけな…えっ、ちょ…待っ」
はいはい文句言わないで〜…と、いつもの抵抗など無視した佐助が政宗の双丘を押し開き、べろりと蕾を舐め上げる。
「ひっ…」
「ほら、固まってないでちゃんと俺様のも可愛がってくれないと、あとで辛いのは政宗だよ?」
「ばっ、か…そこでしゃべ…んなっ、」
後孔を刺激し続け、次第にその中へと侵入していく佐助の舌は、巧みな愛撫で政宗を蹂躙する。
入口が少しばかり柔らかくなったのを確認し、今度はつぷ…と人差し指を差し込んでみた。
「あっああっ、さすけっ、うあっ…」
「痛くは無いデショ?二ヶ月ぶりだけど、それまで散々弄ってきたしね…ほら、お口が御留守になってるんじゃない…のっ!と」
そう言って指を中でぐりっと折り曲げ、回転させる。
内壁が引き攣れるような感覚が痛みと同じくらい気持ちいい、政宗がこの程度で嫌がる事などないのは、佐助は十分分かっていた。
「ふっあああぁ…や、そんなんしたら…あっうあっ…」
しばらく中で指をゆるゆると動かしていると、その快感に煽られた政宗が佐助の中心に顔を埋める。
根元から先端、裏筋から足の付け根まで唇を這わせ、唾液と先走りでぬらりと艶めくソレを口いっぱいに咥えこむ。
顔を上下して、抜く時だけ口を窄めて吸い上げるように扱けば生々しい水音が響き、佐助の体がピクリと反応する。
堪らず佐助も唇で攻め立て、荒い吐息で快感を訴えた。
「ん…そんなの、いつ覚えたの…ったく、はっ…」
「んなの知らね…くっ…あ」
舌で、指で、なされるがままに解された政宗の後孔が、とろりとヨダレを零し始め、中で動く指はもう3本になっていた。
内壁を擦るように抜き差しすれば太ももに力が籠り、快感から逃げようとして腰が浮く。
政宗に襲いかかる悦楽の波は、確実に侵食を開始していた。
佐助がそこで一突き、今まであえて触らなかった政宗の泣き所を押しつぶしてやれば、ひと際大きく啼いた政宗があっけなく自分の上に重なって崩れ落ちる。
「あれ?またイっちゃった?」
確信犯が軽口を叩きながら、それでも指の動きは止まらない。
「ァ…ああ…んっ、いき、なり…は反則、だろ…んっ、もうっやめっ…あっあっんんっ…!」
「あ〜あ、政宗ので俺様のもぐっちゃぐちゃだね」
今まで政宗が咥えていた自身にぱたぱたと滴り続ける政宗の白濁と唾液を、空いた左手ですくい上げると、そのまま政宗の蕾に塗りたくる。
一層滑りが良くなったせいで、ぐずぐずに解れたソコが、指の出し入れをする度に余計に卑猥な音を立てて政宗の耳を侵す。
「も…だめだっ…さす、けぇ…っ」
「俺様はだめじゃない♪」
「指…じゃ、うあっ…も、いれ…てっ…!」
「あ、やっぱりだめだわ…」
腰だけと浮かせた状態で腰をガクガクと震わせながら、振り返って涙目で佐助にに視線送る政宗。
もう我慢など出来なかった。
政宗の下からスルリと抜けだし、背中を覆うようにして体を密着させ、昂ぶった自身を一気に政宗の中へと叩きつけた。
「くっあああ…っ」
「……っ!」
焦れていたのは佐助も同じ事だった。
挿れただけで意識が飛びそうになるほどの衝撃が二人に走る。
汗で濡れた体と体が擦れ合って、焦らされている感覚が増した。
「ここも…こんなに固くして…ほんっと淫乱だね」
後ろから胸の突起を摘ままれ、体を支える両腕がガクっと力を失う。
「はっ…はぁっ…あぁっ、佐助…っ!」
「ほら、余裕なんてあげないよ、俺様だってもう我慢できないしっ」
グリ…っと中を抉るように腰を打ちつけられ、政宗が悲鳴に近い喘ぎをあげると、それがまた佐助を煽る。
背中に口づけを残しながら、胸元から政宗のそそり立ったモノへと手を伸ばす佐助。
触れるとその反応は中にまで響いてくるのだ。
「今すっごい締まった…ね…っ、はぁっ、相変わらず感じやすくて…イイ体っ…!」
「うあっ…んなことっ、ね…はぁあっ…ひっ、んうっ」
「ねぇ…ちょっと名残惜しいんだけどさ…もう俺様限界…っ」
動かす手の動きが早まり、後ろも前もぐちゅぐちゅと乱れ切っている。
喘ぎを漏らす政宗の口は、最早流れ出る唾液すらも飲み込めないようだ。
突き上げる動作の一つ一つが波を連れてくる…佐助の頭の中などすでに真っ白で、本能でしか動けなくなっていた。
「あっああっ…!さ、すけぇ…っうんっああっも、も、はぁつ」
「まさむ、ね…っ!」
ガンッと頭に響くような衝撃が政宗を襲った。
政宗の中で泣き所がひと際大きく打ちつけられ、背をのけ反らせて達する政宗に締めつけられた佐助もまた、同時に熱を吐き出した。
自分の中で佐助がドクドクと脈打つ感覚が生々しく感じられ、政宗の先端からはとめどなく白濁が流れ出ている。
体を支え切れなくなった政宗が横にゴロンと倒れこんでしまい、その拍子に突き刺さっていた楔がズルリと抜けて政宗が小さく呻き声をあげた。
「うわ…顔も体もぐちゃぐちゃだけど絶景…」
「はぁっ…テメェが二ヶ月会わない間に、はぁっ…変態さを増したってことが、良く分かったぜ…」
「前と変わらないって〜。ただちょ〜っと今日は苛めたくなっただけ♪可愛かったよ?」
「嬉しかねぇよ……。あ〜べたついて気持ちわりぃ…湯浴みした意味無かったな」
隣に寝転んできた佐助から顔を背けて拗ねる政宗。
こういうのが嗜虐心をくすぐるのだという事に、何故気がつかないのだろうか。
佐助は愛おしくて仕方ない目の前の恋人の肩を掴み、腕の中にすっぽりと抱き寄せて囁いた。
「次会えるのは、きっと雪が無くなってから…かな?」
現実的に考えて、真冬の奥州に訪ねて来ているという今の現状の方が信じられない事なのだ。忍頭という立場もある、そう身勝手に動けるものではない。
しかし今だけは…と、政宗が佐助の腕の中で呟いた。
「…そんなに待てねェよ…分身でもいいから会いに来い。…いや、やっぱりお前が来い」
珍しく素直に淋しい気持ちを吐露されて顔が綻ぶ。
「旦那に、無茶な配達が無いか聞いてみるよ。次はまた、違う酒を持ってくるから楽しみにしてて♪」
「その酒の肴に竜を喰らうなんざ、大層な御身分だぜ…」
次の逢瀬は如何なるものになる事やら…と、考えただけで満たされた気持ちになった。
ぎゅっと強く抱き締めれば、お互いの鼓動が振動し合うのが分かる。
口づけ合うその吐息が、雪を溶かして春を呼ぶ。
竜の閨に祝い酒、闇に紛れて喰らう熱。
「佐助…」
「ん?なーに?」
「寒い…あっためろ、ばか」
「はいはい…うちのお姫様はほんっとにワガママだこと…そういうとこ、大好きだよ♪」
END