▼ 01:俺とこいつら
『Ein absoluter XXX』01
現代/サスダテ…になるといいね小説(なにそれ)
色々と模索しながら書いている問題作ですw
大学生の政宗、佐助、幸村、元親、などなど、わりと沢山のキャラが走り回る予定です。
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いい加減、呼ぶのはやめてくれねぇか
呼ぶなら顔を見せやがれ
見せられねぇなら…
呼ぶんじゃねぇよ、その声で。
目を開けてうんざりする。
「またここで寝ちまったのか…」
見慣れたリビングがひどく散らかっていた。
酒の空き缶や氷の袋、つまみの食い残しと、泥酔した野郎が3人転がっている。
…今なんか夢見てたよな、よく覚えてないけどきっとアレだ。
この覚えてない加減が、いつもの夢なんだろうと示している。
ハッキリしなくて気分が悪ぃ…
ぶるっとひとつ身震いをして、もぞもぞと起き上がると、隣に寝ていた佐助がごろんと寝がえりを打った。
なんでこいつ俺の隣で寝てやがんだ・・・
ガシガシと頭を掻いて時計を見ると、もう昼の14時を回っている。
「Shit,予定がもう狂ってるじゃねぇか…」
足元の男共を起こさねえと。
でも…やべぇな、完全に二日酔いだ…
立ちあがるのが億劫で仕方ない上、酒を飲んでいた事を思い出した途端に、そういえば何となく頭が痛い気がしてきた。
頭がハッキリしねぇのは、夢のせいだけじゃなかったか。
病は気から…ねぇ…よく言ったもんだぜ。
とりあえず俺一人でこの部屋をどうにかすんのは御免だ。
そもそも俺の部屋なんだから、散らかしたこいつらにやらせるべきだ、ちげぇねぇ。
「おい、起きろ佐助」
一番近くにいた佐助をゆする。
しばらくむにゃむにゃ文句言ってたが、口に無理やり余った氷をいれてやったらアッサリ起きた。
こいつ、ホントは俺より先に起きてたんじゃねぇのか?
「ましゃむねおふぁよぉお〜…」
「氷食い終わってからしゃべろよ、とりあえずこいつら起こさねえと、もう2時すぎてんぞ」
「えっ!うあっ、吐き出しちゃった。…あら〜ほんとだ。やっちゃったね〜こりゃ今日は中止かな?」
…お前その吐き出した氷、ちゃんと捨てて拭くんだろうな?
「中止にしても俺は構わねぇけど、アイツは怒るんじゃねぇか?」
「誰も連絡してないからね、今まで寝てたんだから当然だけど…っと。」
ググっと伸びをしながら佐助が立ちあがる。
いや、立ちあがって、すぐ俺の横にヘタっと戻ってきた。
「お前もか、奇遇じゃねぇか、立派な二日酔いおめでとう」
「俺様、今日は出掛けたくないや…中止の連絡してこのまま寝てようよ」
「じゃあ俺の携帯取って来てくれよ、たぶん俺の部屋にあるから」
「えぇ〜??人使い荒い!!」
そうは言っても言う事聞くよな、こいつ。
ぺたぺたと裸足で俺の部屋まで携帯を探しに部屋を出て行った。
しかし残りの泥酔者はこんだけ俺達が話してても、ちっとも起きやしねぇ。
まぁ、どうせ今日は誰も起き上がれねぇだろうから、このまま寝かせておくか。
中途半端に起こして頭がいてぇだの何だの騒がれるのは、面倒だ。
とりあえず、テーブルの上だけでも片付けてから二度寝しよう。
台所からゴミ袋を持ってきて、空き缶やら菓子の袋やらをガサガサと詰め込む。
分別は…一番遅く起きた奴にあとでやらせよう。
一通りのゴミをまとめて、台所の隅にその袋を投げる。
カーテンが閉まったままのうす暗い部屋を見回し、ひとつ大きな欠伸をすると、むわっとした酒の匂いが急に気になりだした。
酒臭さだけは換気しないとどうしようもないが、今窓を開けると煩い2人が目覚めてしまう。
「俺の部屋は大丈夫だろうし…まぁ後でもいいか。」
冷蔵庫から出したペットボトルの水を一口飲んで、クローゼットに向かう。
薄いブランケットを2枚出して、汗だくで寝てる野郎2人の腹にかぶせてやった。
腹壊されても薬は無ぇし、何度も言うが元親と幸村はそうなったら煩そうだ。
当初の予定よりも寝起きによく動いてしまって、頭痛もなかなかの活発ぶりを見せ始めた。
しかしどうもこのべた付く汗の感じが気持ち悪い。
サッとシャワー浴びてからでも二度寝はしっかりできる自信があるし、ベッドにこの酒臭い服でもぐるのは嫌だった。
再びクローゼットの元へ向かい、着替えを引っ張り出す。
1人暮らしのクローゼットってのは、自分の物より仲間の物の方が多くなるのが普通なんだろうか…
同じ衣装ケースに入った覚えのないTシャツやスエットを見つけて、ふと疑問に思った。
溜息のような欠伸を落とし、クローゼットをパタリと閉める。
リビングのドアに手をかけようとしたが、もう一度、ぐーすかと寝息を立てる2人を振り返って見た。
「そろそろ家賃でも取るか。」
ぼそっとつぶやき、なぜか顔がゆるんでしまう。
1年前には想像もつかなかった部屋の光景に、心なしか安堵してしまう自分に気が付いたのはほんの数週間前だった。
悪くないな、と思いながら風呂場に向かうその足取りは、二日酔いさえなければ軽快でご機嫌に見えたはず。
政宗にしては珍しいことではあったが、生憎と二日酔いが邪魔をする。
ご機嫌なのは政宗だけでは無かったが、感情の主はそれをしっかりとしまいこんでいる。
この状況はチャンスなのかもしれないけれど、今はまだそんな時期じゃないとも思った。
信頼してるしされている。
だけどこれはまた別の問題だからね、俺様こう見えても結構慎重なのよ。
「まだまだ機会はあるはずだからね〜今日はこれでもいっか」
青い携帯を片手にベッドに倒れ込む。
遠くなる意識の片隅で、壁の向こうから聞こえてくるシャワーの音を聞きながら、佐助がにやっと顔をほころばせ、そしてそのまま眠りについた。
…To be continued