▼ 前編
最近、真田の旦那の様子がおかしい。
やけにソワソワと文を待つようになったし、鍛錬しながらも上の空だし、暇になったら廊下に腰かけてボーっとしてるし、今までからは考えられない程、寝る前に酒を飲むようになった。
寝酒に頼るなんて、一体何にそんな思い詰めてるのかなって考えたらさー…まぁ心当たりは1つしかなくって。
こっちまでモヤモヤするから思い切って聞いてみた。
「だ〜んなっ、何そんな所につっ立ってるの?体冷えちゃうよ?」
大きな庭石に寄りかかって、着流し姿で空を見上げていた旦那がこっちを振り返り見た。
「おぉ、佐助!今宵は月が一層美しくてな、眺めておったのだ」
…月、ねぇ。
最初から核心ついちゃったよ。
「また一人酒?あんまり飲みすぎちゃうと、明日起きられなくなるんじゃない?」
「これが無ければ昂ぶりを誤魔化せなくてな…眠れぬのだ」
…昂ぶる…か。
いつの間にそんな大人になっちゃったの旦那…。
「某は・・・一体どうしてしまったのであろうな…。このところ妙に心持ちが落ち着かぬのだ」
えっ、なにそれ旦那、もしかして無自覚なの?
「あの御仁…独眼竜・伊達政宗殿と相見えて以来、胸が熱く滾るだけでは治まらぬ。何か特殊な術でもかけられたかのように、政宗殿の事しか考えられぬとは…奥州の技とは厄介なものよ…」
ほんとに気付いてないのこの子!?
「佐助、お前の作る薬でどうにかならぬか?」
その感情をどうにかする薬があったらとっとと作ってるよ!
それより俺様は独眼竜に毒薬盛りたい気分なんですけど!!!
「旦那…余計なことかもしれないんだけどさ、一応聞いてくれるかな?その滾った熱をさ…発散する方法ってちゃんと知ってる?いやー知ってるよね流石に!?もう旦那も17だしね!?知らないとかまさ…か…そんな…ね??」
キョトンとした顔がこちらを見た。
ほんとに知らないの?大丈夫?男として大丈夫??
「佐助」
「…はい」
「もっと分かりやすく言ってくれ」
「はぁああ!?ちょっと旦那!もう17にもなるのにっ!一度もっ!一人でっ!シたことないの!?」
流石の俺様も目眩がしたよ。
忍に大声出させるなんて、この御方はとんでもない問題児だな…。
「無論、そういった行為は知っておるぞ!」
「当然ですー!!」
「なれど、あれは熱が体を巡るだけで、あまり好きではないのだ」
…あ、一応やってみた事はあるんだ…
そして失敗して不完全燃焼だったって事には気付いてないんだね?
どーする俺様。
「普通はスッキリするもんなんだけど?」
「そ…そうなのか…?」
「うん…普通は・・・」
あーやばいよー!
旦那が一人でシちゃってるとこ想像しちゃったよー!!
我慢だよ我慢っ、俺様我慢ーっ!!
「だってほら…こういうとこ触ってたら気持ちよくない…?」
我慢できなかったー!!!!
「さ…っ、さすけ…!?」
あーあー顔赤く染めちゃって…無意識に人の事煽るのやめて欲しいんだけど…っ
「うん…一応ちゃんと反応するんだね、大丈夫だよ、気持ちよくなれるから」
「お…お前にそんな事を…っん…させる訳にはっ、あっ…いかぬ…」
ごめんね旦那、聞こえません!!
そんな可愛い声出せるとか知らなかったよ!
初めは着流しの上で撫で回してただけだったけど、もう我慢をやめて手を滑り込ませた。
下帯の端から手を差し込んでみると、いちいちピクって反応するんだよね。
旦那って、感度も素直なんだ…。
「佐っすけ…、もうや…めっ、んぁっ」
「旦那ってば、こんなに感じやすくて何で自分でやった時に失敗したの?こんな事も一人で出来ないんじゃ、大将に笑われちまうぜ?」
「な!?し、しかしこれは…はっ、ぁ…」
やばーいどうしよう。
ゆるゆる触ってただけなのに、もうこんなにベタベタになってる。
忍ごときの手に感じちゃってんの?
…この指舐めたら嫌われるかなぁ?
「ん〜、もう下帯キツそうだし邪魔だね、取っていい?」
「待っ…まて佐助っ、ここじゃ…や…!」
ごめんもう取っちゃった。
そして更にごめん、ここ屋敷の庭なんだったね。
ていうか「ここじゃいやだ」だなんて…他の場所ならその気になれるってこと?
どこまで可愛いのよ旦那ー!!
「あー…部屋、入りたい?」
わざと旦那の耳元で囁いてやった。
そしたら目の周り紅くしてさ、コクンてうなずいて俺様にしがみついてきた。
どーする俺様ー!!
...To be continued