「……じゃあお前さ、何で付いて来たの?」

 ――え? そっちが勝手に連れて来たんじゃん……と、少女は心の中で悪態を付いた。帰りを待つ親を裏切り、友人との連絡も中途半端に無理矢理連れて来られたのだ。けれど、そう言い返す勇気も無い少女は、「――何となく?」と濁した返事を返す。青峰はその返事に反応する事なく、二人の間に無言が続いた。緊張からか、○○の喉は、渇き張り付く。青峰も身動ぎもせず、ただ横になったまま動かない。

 静かな部屋に微かに聞こえる声は、壁の向こう側からのモノだ。性行為中に違いない。キンキン高い女性の"イヤらしい声"に、○○の心臓が大きく跳ねた。同じく気付いた青峰は、咳払いをするが尚も沈黙は続く。

 ――やがて、気まずさもピークに達しようとしていた。観念して青峰へ何か話題を振ろうと、少女は声を掛ける。寝ているなら、それはそれで緊張が解れるだろう。

「……ねぇ」

「――オレ……今からお前の事襲うけど、それも"何となく"で済ましていいか?」

 声を掛けられるのを待っていたように、低く甘い美声で身体の交わりを催促された。青峰の何が狡いかと言えば、この声が一番だろう。またしても○○の身体中が火照り始めた。喉が渇き、何も言えなくなる。

 ギシリとベッドが軋んだ。背中越しに相手の動く気配を感じた瞬間、太い腕が身体を包む。耳元で荒い吐息がした。耳殻を擽る低い息遣いに、○○の脳ミソは沸騰しそうになる。密着した腕から熱が伝わった。

 伸びてきた手は迷う事なくガウンの前から胸元へと滑る。その手がじれったそうにブラジャーを持ち上げると、上半分だけ乳房が露出した。待てないとばかりに大きな手が膨らみを握り、こね始める。いきなり始まった愛撫に、少女は全身を緊張させた。男の息遣いは益々激しくなり、今はもうその汗ばんだ吐息しか彼女の耳に届かない。

「……ぅ、ん……っつ……」

 時々乳首を掠める手のひらに焦れる。その焦れが快感になり、甘い声が漏れそうになった。唇を噛み、必死に堪えるが息と共に出てしまうのだけは止められない。

 ブラのホックを外され、僅かな隙間が出来ると青峰の手はスルリと入り、乳房全体を力強く捏ねる。優しさなど微塵も無い、本能のままに左手を動かしているようだ。動物や無邪気な子供のような責めに、○○の身体はウズウズする。

「――ちっちぇー胸だな……」

 文句と共に乳首をつねられると、ビリっとした快感が流れた。親指と人差し指で先端を潰され、弾かれる。感じた事無い感覚に、肩がビクビク跳ねた。

「は……あ、も……っるさぃ……っ」

「……デカくしてやろうか?」

 二人の身体が更に密着し、乳房を激しく揉まれる。いつの間にか身体の下からの腕が、伸びていて両胸を責められた。大きく円を描くような動きに連動して、膨らみに青峰の指先が食い込む。Bカップしかない○○の胸は、青峰の両手により玩具にされている様だった。

 時々思い出したように乳首を責められ、二本の指で潰された。その度に下半身が疼いて身体が前に曲がる。足の間が熱く、ヒクヒクした。

「……は……あ、ぁ……や、だ……ッ」

 喘ぎのような吐息が少女の口から漏れ、それが青峰のモチベーションを上げていた。男の性器は痛い位に勃ち上がり、快感を求めて疼いていた。


 青峰が○○の乳首を摘まめば「あんっ」と喘ぎが鋭くなり、身体がヒクリと跳ねる。男はソレを"面白い"と思った。必死に声を押さえようと両手で口元を隠しているのも、彼の嗜虐心をそそる。部屋に反響する程、喘がせたくもなっていた。

 物足りない程に手に収まる乳房を揉んで弾いて撫で上げる。耳に舌を這わせ、舐め回すと冷たい筈の耳たぶに熱を感じる。耳内に響くようにぴちゃり、ぴちゃりと音を立ててやれば、震えたような小さな声を漏らし出す。

 男は、目の前のオンナを堪らなく滅茶苦茶にしたくなる。ベランダで見た二人……幸せそうな黒子の姿が脳裏を過れば自分はなんて厭な人間なんだと、実感する。

 これじゃあ他人の玩具を欲しがる子供と同じだ。奪ってしまえば興味は薄れるに違いない。ガキ大将から成長しない男は、目の前のオンナの華奢な肩を甘く噛んだ。


 青峰は肩を抱くと、向こうを向いたままの○○を仰向けに寝かせる。相手が「やだぁ……」と半泣きしながら両手で顔を隠す事に気付かないまま、口元を胸へと運んだ。小ぶりな胸に吸い付き、固くなった乳首を舌で弾き出す。生温かく、ぬるりとした感触が少女の肌を滑った。

「……も、やだ……帰、る……。っん……」

「帰すかよ、今更」

 ○○の心臓は、羞恥で爆発しそうだった。青峰の愛撫に下半身が疼いて、内股になる。

 それを察したのか、男の左手は下腹部へと向かう。胸元が思い切り開いたガウンの紐を外すと、お腹から下が露になる。上下揃った花柄の下着。下着屋に並んでいたら、とてもじゃないが色気は見出せない。しかし今の青峰には、そんな柄や形状など……どうでもいい。その下に隠された部位にしか興味は無い。

「――電気、消して……やだぁ……やだ……」

 相手の懇願を無視し、閉じた内股へ強引に手を滑り込ませた。褐色肌の男は、下着越しにも柔らかさが判る女性器を割れ目に沿って強くなぞる。指に湿った感触が届いた。

「……濡れてんな。ぐちゃぐちゃだ」

 一番長い中指が、布地ごと穴へ侵入しようとする。思った以上に反発するクロッチ部分に焦れた青峰は、脱がす手間を惜しんだ。下着を横へ退け、剥き出しになった秘部へ中指を押し込む。

「あ……やっ……痛ッ……痛い!!」

 濡れていたとは言え、急な異物の挿入に備えていなかったソコはビリリと痛んだ。青峰の、その太い中指は今まで無い位に膣内を満たした。やがて内部から分泌された愛液が、青峰の左手を濡らし始める。

「やだ、やだ……!! っ、は……んあぁ……!!」

 泣き声に近い喘ぎと、秘部を弄る度に出てくる湿った水音が青峰の耳へと響いた。ずらした下着は愛液を吸い、色を変えている。それを引っ張り無理矢理にも脱がすと、少女の「破れるよ!」と言う悲痛な声が響いた。しかし、快楽に翻弄された青峰は、今更耳を貸す気も無いようだ。

「……も、無理だ。ゲンカイだ。待てねぇ……」

 もう充分に前戯はした。そろそろ自身を満足させる番だ……。男はそう思い、はだけて意味を成さなくなっていたガウンを脱ぐとその辺へ投げる。下着を脱ぐと、苦しそうに押さえ付けられていた生殖器が飛び出した。赤黒く血管が浮き狂暴な形をした器官は、快感を求めるだけに反勃っていた。そうして全裸になり、○○へ野獣のような目線を向け、「……悪ィ」と形ばかりの謝罪をする。

「――う、そ……。やだ、付け……て……」

 枕元に置かれた避妊具の事など存在しないかのように無視した青峰は、剥き出しの性器を擦り合わせた。