幸運の話


「物吉貞宗が実装だよー!」


徳川家康が愛用していたという脇差、物吉貞宗。公式によると、幸運の王子らしい。

「徳川軍繋がりで蜻蛉切さんが喜ぶかなあ」
「そうだね、縁もあっただろうから、きっと会えるのを楽しみにしていると思うよ」

蜻蛉切さんは出陣中だ。帰ってきたら知らせてあげよう。政府からの手紙を光忠さんと二人、覗き込みながら話を弾ませた。

「相州貞宗、ってことは貞ちゃん……太鼓鐘貞宗と同じ刀匠になるんだね。もしかしたら貞ちゃんと面識あるかな?」
「さあ……どうだろうね。でも、彼は貞ちゃんと兄弟のような関係になるのかな、刀匠が同じだしね」

光忠さんはにこりと笑った。そっか、そうだよね。粟田口や左文字だって同じ刀派で兄弟分類されているし、なら物吉くんと貞ちゃんも兄弟になるんだろうな。

「……さて、今度はどうやって入手すればいいのかなー」
「博多くんのような確定か、はたまた日本号さんのように先行か……」
「明石のように特定ステージか、小狐丸のように鍛刀・ボスドロか……。……そういえば、追加実装された中で鍛刀で顕現できるのって、小狐丸さんだけだね」
「ほんとだ。……他は全部戦って入手しないといけなかったからね」

そろそろ鍛刀入手を実装してくれても良いのよ……。なんて思いながら、姿絵をじっと見る。確かに王子様然とした格好だ。一期さんと並べてみたい。

「好きなことはお手伝い、だって。もし得意そうなら、お料理番も手伝って貰おうか。今の人数だと大変になってきたでしょう?」
「そうだね、この本丸も、随分と増えたからね……」

光忠さんが来たのは、審神者に就任して二日目。彼がちょうど10振り目の刀だった。単純計算、当時の4.6倍である。歌仙さんや小夜くん、安定くん、堀川くん、長谷部さん、他にも料理を任せられる人は多いけれど、刀が増えればそれだけ料理番も増やしていかないと回らない。
賑やかになったなあ、と、私は笑った。料理も戦に思えてくるよ、と光忠さんは困ったように笑った。

「それにしても幸運、かぁ……。『審神者の幸運で手に入れてみせてください』とか言ってレア5だったりして。……あかん、リアルラックも低いのにもと脇差難民本丸だぞ……やばい」
「いやいや、仮定でそんなずっしり落ち込まないでよなまえちゃん……」
「あはは……自分で言ってて落ち込んでちゃ世話無いねー。うーん、物吉くん、鍛刀出来ないかなあ……。今うちの資材、山のように備蓄されているし」

ちなみに資材、一番少ないのが玉鋼で5万、一番多いのが砥石で9万である。鍛刀なら任せろーばりばりー!

「まあ、ゆっくり待とう、なまえちゃん。実装時期は少し先、って言われているしね」
「だねー、のんびり待つとしますか!」

新しい仲間の情報は、いつだって心躍るものだ。
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