ダブル・マインド



人の不幸って、楽しむものじゃないね、なんて今更ながらに思う。

人を呪わば、穴二つ。



30th.ダブル・マインド



被害なんて、私が忘れた頃にやってくるのだ、それはもう、天災が如くに。

「……どういうことですか」

「私知らないよー?」

「そらそーだ」

何の因果か何の仕返しか、今度は私とゆうこが入れ替わってしまうという事態が発生した。
なぜその役回りが私にやってくるというのだ、本気で問い質したい。……かみーさまーおしーえて。あの子が授かったのは主が遣わしたもうた逆ハー体質では無いのでしょーか……。なーんで、逆ハーを私が請け負うのか、真面目に教えて下さい。

「えーっとつまりは、今、ゆうこちゃんがなまえで、なまえがゆうこちゃんって、ことだよね……」

そうだよー、と、呑気に答えるゆうこ。
ただ、遊ぶためにツナの家に集まっただけというのに、何となく私とゆうこが遊ばれる対象になっているのは、気のせいじゃないだろう。

「みょうじがゆうこかー……、なんか、調子狂うなー」

「……ゆうこに話しかけるには、みょうじに話せってことか……?」

「みょうじ、ね……」

お前ら本当に何なんだ。つーか何でナチュラルに居るんだ雲雀さん。
私じゃそんなに不満かそーかそーか。……写真が居らないと解釈して結構なんだな?

私がふっとそう思った時、男三人が一瞬止まった気がした。
……空気読めるんですねふふ。

一人ほくそえんでると、隣からトントンと肩を叩かれた。振り返れば、そこにいるのはゆうこ。

「ねーなまえー」

「ん、何?」

「これも、時間が経ったら戻るのかなー?」

「たぶん、戻ると思うけど……?」

「じゃー、戻るまではなまえの体で悪戯しほうだいってことだね!」

「違う!それなんか違うよゆうこ!」

私が止めるのにもかかわらず、ゆうこはひゃっほいとか叫んで行きやがった。ちょ、何する気だお前ええええ!

「ツーナーっ」

「え、なまえ、じゃなくてゆうこちゃうわ!?」

「何してるのゆうこー!」

あろうことかツナに体当たりとか、そんなちょっと私でもやったことないのになんて羨ましい!じゃなくて止めないとなんか大変なことになる気がするんだが、でも私がこのままツナを止めに行っていいのか?
もしこのままツナを止めに行ったら、「ゆうこに(ry」とかって言われて被害をこうむるのはツナな気がするんだけどもさ!
うわわわわ何もできないこのジレンマああ!

「ちょ、なまえ、じゃなくって、ゆうこちゃ、ほんと、どいてってば、もー……!」

「うっわあ、ツナの珍しい反応だあ、たーのしー!」

「ちょ、俺で遊ばないでー!たっ、助けてなまえ……!」

「呼んだー?」

「違う!外見のなまえじゃなくって、──あーもうややこしい!ってぎゃあ!ゆうこちゃん、ほんっ、ほんとに待って!」

……何で私今ゆうこになってんだろう……!あーくそ羨ましいぃぃ!


「なまえお願いだから見てないで助けてぇぇぇぇ!」

「助けたい、けどねー」

「外見がゆうこだしなー」

「ゆうこが草食動物を助けるのは、見ててなんだか、ね」

「すいません10代目、こう、見た目的な問題と言いますか……!」

「というわけなんだ」

「──っ皆薄情だろー!」




結局、ゆうこがツナといちゃついてる間にふっと元に戻って、私がむちゃくちゃ恥ずかしい思いをしたんだと、それだけは記しておこうと思いました、あれ、作文?


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