それが日常
今日で並盛中学に通って一ヵ月。
「あーっ、なまえ!?」
…… ようやく友人に気が付いてもらえました
1st.それが日常
私、みょうじなまえは一ヵ月前、ここ、並盛町に引っ越しもとい、飛ばされました。属に言うトリップというやつです、たぶん。
制服とか戸籍とか色々偽造されていたので、利用させていただきました。(高校生だったのにな)
そしていざ並中に通ってみますとですね、なんと2年A組に我が友人、ともせいゆうこが居やがりましたのですよ。
私の中学校以来の友人、ともせいゆうこは、平均的日本人にしては少し薄めの色素の髪と目の色をしている。性格はわりと天然で、ドジッ子。顔はまあ、平均より可愛い部類だろう。綺麗な美人タイプではない。
何が言いたいかと言うとですね。彼女は典型的な逆ハーヒロインタイプ、なのです。
で、きっとキャラの誰かの家に居候でもしているであろうゆうこに声をかけようと試みてはいたけれど。ゆうこは見る度、復活キャラの誰かに絡まれていた。で、それ見て邪魔するほど野暮な人間でもないので、ゆうこに挨拶すんのはまた後でいっかー、とか考えてるうちに、一ヵ月経ってしまったわけですね。てかもう最後の方はてめーが見つけろや、みたいな勢いになってたけど。
「え、うそ、なまえ!?」
「いぇす。久しぶり!」
「うん、久しぶり!… じゃなくて!何で声掛けてくれなかったの!?」
「え…………(逆ハ状態のお前に声掛けろと?)気付かなかったの!」
「嘘付け!」
幸い今ゆうこの隣にはキャラは居なかった。うんでもまぁ近々リボーン辺りに話し掛けられない気がしないでもない。嫌な予感というものはいつも当たるものだ。当たらないことを祈ろう。
「じゃ、私帰るね」
「え、ちょっとここは再会を喜ぶべきとこじゃないの?」
「用事有るから」
「…… もしかしなくても、怒ってる?」
「さあ、どうだろうね?」
「うぁ、ごめんだってばなまえちゃーん!気づいてたのに声掛けなくてごめんー!」
「気づいてたんかい」
泣き付いてくるゆうこを軽くあしらって、思い出したことをゆうこに一言添える。
「ああ、そうだ」
「ん?どしたのなまえ?」
「キャラと居るときは話し掛けないでね」
「えー、何でぇ?皆優しいよ?」
「優しさは時に罪になるよ、ゆうこ」
「なまえ、何キャラ?」
適当にかわしてみたが、何の考えもなしにこんなことを言っているわけではない。正直、爆発してるような日々を生活したくない。最強風紀委員長に目を付けられたくない。
私は外から見てるだけで、一言二言会話できるだけで十分なのだ。
…逆ハヒロインの友人ポジションって大変なんだよな、とかいうのが本音な訳じゃない。決して。
…で、だ。
昨日の今日で会話内容をすっきりさっぱり忘れられるこいつを殴る許可を私に出さないか、誰か。
「なまえーっ!」
「ねぇゆうこ、頭蓋骨陥没と東京湾に沈められるのとどっちがいい?」
「え、あ、ご、ごめーん!!」
次の授業が移動教室だったため、早めに教室を出たのが間違いだった。
今ゆうこは後ろに並中2−Aの3人組を引きつれてきている。
私の言ったことを丸忘れするゆうこもゆうこだけど、やっぱり一番の原因はあいつの逆ハー体質か。自分じゃ意図せず、キャラがくっついてくるという。
……本当に、我ながら凄い友達を持ったものだ。
「お、ゆうこの友達か?」
「え、こんな地味なのが?」
地味で十分だよ獄寺。悪態をつくのは内心に留めておく。
「ちょっと獄寺君…!あ、ごめんね、俺、沢田綱吉。君は?」
「2−D、みょうじなまえ、だけど」
あ、ツナだ……。
元々好きだったからか、彼に対しては素直に言葉が出てきた。
うん、自己紹介されたらちゃんと返すのが礼儀だね!とか言い訳しとこう。
「ゆうこの友達、ねぇ…。俺は獄寺隼人だ」
「俺は山本武ってんだ」
「へぇ。よろしく。……じゃあ、私行くね。急ぐから」
「また!?っていうかごめんなまえ本当にごめんだから行かないでー!」
「ちょ、おま、私に授業遅刻しろってか」
「ああ!忘れてた次の授業!」
「おい」
まったく。
…平和って何だっけな。
「ホントごめん!ごめんついでになまえ、放課後ツナの家に行くから一緒に行こっ!あたし教室まで迎えに行くね!」
「よーしわかったマリアナ海溝に沈めてやる」
こうして、もう意図したとしか思われないタイミングの悪さで、復活キャラとの接点を持つことになってしまった。
バトルに巻き込まれて死ぬことだけは絶対に避けようと誓った、ある日の午後。