7人目の話


「敵が強くなったねえ」
「まあ、こちらも極が増えて戦力は大きくなってきたからな。敵も強くなるだろうさ」
「うむむ……」

秘宝の里、いくら刀剣男士が破壊されないとはいえ、強い敵と相対すれば重傷も珍しいことではない。私は、近侍を任せている鶴丸さんと頭を付き合わせ、部隊編成を練っていた。
超難で周回することを考えると、ある程度の攻撃力と、統率が欲しいところだ。

「最初に極の短刀たちだけで行かせたときは、薙刀さんがネックだったもんなぁ……」
「薙刀の広範囲攻撃は、部隊長も関係無いからな」

どの札を引くか判らない以上、相手の刀種がなんであっても対応できるような部隊編成にしておきたい。
ううん、戦力をうまいこと組むというのも、なかなか難しい。戦術の幅が広がるということの難しさを実感する。
ああでもない、こうでもないと、出撃しながら組み合わせを変えていき、なんとか周回が安定する組み合わせを見つけた。あとはこのまま篭手切くんが来るまで玉集めを頑張るだけですね! 最近10万集めるの多いね!

「さて、と。あと100まで来たねー」
「最後の出撃は俺たちかい?」

門のところに立って、里へ向かう部隊の面々を見やる。鶴丸さんを筆頭に、包丁くん、貞宗くん、信濃くん、不動くん、後藤くん。極短刀5人と、カンスト済みの鶴丸さんだ。カンストしてから出撃が少なくなっていたから、この里が開いている間の鶴丸さんはとてもいきいきしていたように思う。

「うん、さっき第四部隊が帰ってきたから、次は第一部隊の鶴丸さんたちだね。お願いします。危ないなと思ったらすぐに帰ってきても大丈夫だからね」
「心配性が過ぎるぞ、なまえ。まあ俺としては、楽器も集めているわけだし、敵の本陣まで辿り着きたいところだがな」

行ってくる、と手を振って門をくぐる後ろ姿は頼もしい。包丁くんや信濃くんのぶんぶんと振る手に応えて、全員を見送った。あとは、彼らの帰りを待つばかりだ。

政府への申請準備を進めていたところに、部隊帰還の知らせが届く。急いで門へ向かえば、鶴丸さんが大きな袋を抱えて居た。……どう見ても100以上入ってますね!?

「お、お帰り鶴丸さん、包丁くん、貞宗くん、信濃くん、不動くん、後藤くん。お疲れ様。にしても、結構数があるね……」
「ああ! 聞いて驚け、なまえ。600持って帰ってきたぞ!」
「ろっぴゃく!?」
「あっはっは! いい顔だ!」

くつくつと笑う鶴丸さんは、本当に楽しそうだ。あんな笑顔をされてしまえば、こちらもつられて笑ってしまう。まあ、多くて困ることは無いし、なかなかの驚きをもらったことだ。今日は出陣した部隊も、支えたみんなも労ってちょっと豪華なお夕飯にしよう。

「じゃあ、第一部隊のみんなはお風呂どうぞ。本当にありがとうね!」
「なあに、次に何が待っているのか、分からない里はなかなか楽しめるんでな。次も俺を出陣させてくれよ、なまえ?」

言い残して本丸の中に入っていく鶴丸さんたちに、お帰りやら、砂埃は落としてからと言った声が掛かるのを背中で聞く。足下にいるこんのすけに、玉数を確認してもらって加算すれば、10万を超えたと教えてくれた。

「では、政府の方に申請して、篭手切江を送っていただきますね!」
「お願いね、こんのすけ」

しばらく待てば、受け取り箱にランプが灯る。新しい届け物が来た知らせだ。

「届きましたよ、なまえ様!」
「ありがとうー」

受け取り箱から脇差を一振り、手に取って取り出す。少し広めの場所で、刀に力を込めれば、桜と共に象られていく人の姿。

「私は篭手切江。郷義弘の打った脇差です。これからよろしくお願いします」
「よろしくお願いします、篭手切くん!」

さて、では新人くんに本丸の案内といきますか!
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