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ボールと君と恋

 



君はいつも黄色いボールを追いかけている

そんな君を私は目で追いかけている


そしていつの間にかそれが日課となっていた




朝、学校に着いて教室へと入り
授業のチャイムがなれば必ずといって言い程




「わりぃ悠那、数学の宿題見せてくれ」




と、隣の席から手を合わせてお願いされる。


彼は私の幼馴染みの宍戸亮。

そして私がいつも目で追うっている人だ。




『また??たまには自分でやろうという気にはならないの??』


「いや、そーいう訳じゃ・・・」(汗

『クスクス、冗談だって』




言いながら私は昨日やった宿題を彼に貸す。




「サンキューな!!」




少しでも長く少しでも多く話がしていたい
そう思うようになったのは最近。

君の笑顔を見るだけで心が少しだけトキメいてしまう。


これを"恋"と言うのだろうか。


そして全ての授業が終わると私に"また明日な!!"と言って
部活に行くため教室から出て行く。


彼を見送った後、荷物をまとめると
帰る訳でも無く教室からテニスコートを眺める。

ボールを追いかける彼の姿を見るために。


でもそこにはまだ彼の姿は無い。


あれ?と首を傾げているとガラッと言う音とともに教室の扉が開く。

余りにも突然だったのでビクッと体が反応する。

そして、そこには彼の姿があった。




「あれ??悠那、お前まだ帰ってなかったのか??」


『ビックリしたぁ〜
亮こそ何しに戻って来たの??』

「グリップ忘れたんから取りに来たんだよ」




道理でコートを見ても居ない訳だ。




「最近、よく此処からテニスコート見てるよな」

『な〜んだ、知ってたんだ』


「べ、別に・・・・」




ん??

彼の顔が赤いのは気の所為だろうか。


探し物を見つけたのかそれを手にすると"じゃ、また明日"と言って教室から出て行く。

私はテニスコートに戻った彼の姿を見つけると
やっぱり目で追いかけてしまう。


そして思う。

ボールを追いかける君の姿がカッコイイと。


そして改めて私は君に恋をしているんだと思った。



休憩に入ったのかタオルで汗を拭いながらこちらに目線を向ける。

そんな彼を見ていると私の胸は高鳴り、頭は思考停止。

でもそれとは裏腹に口パクで"頑張れ"と一言。

すると彼も口パクで一言返してくれた。




ボールと君と恋


(その一言が嬉しくて微笑んだ)("サンキューな"だって)



 


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