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人の噂も七十五日

 




音楽室ではなく人目の付かない物静かな場所で歌った記憶はあった

ただ何となく口ずさんでいただけ

そこへ急に人が出てきて




「なぁ!!もっかい聞かして」




好奇心旺盛な子供のように目を輝かせ
私にアンコールを求めて来たのを覚えている

でも・・・・・




「岳人ー、何してるん
早よ部活行くで」




そう声が聞こえると目の前彼はガッカリしたように肩を落としていた

これから部活らしく手にはテニスラケットを持っていた


そして、彼は立ち去る前に




「また今度、聞かせてくれよな!!」




と言って走って行った


その後、噂が出回り始め喋ることをやめ
クラスの違う彼のこともすっかり忘れていた


でも、その時の彼が今、目の前に居る




「あのさ、そんなに凝視されると照れるんだけど・・・・」(汗

『あら、ごめんなさいね』




あんなにも人と話すのが面倒だったのに
彼と話すことは苦にならない

それに綺麗な声だなんて言われたのは彼だけ




『また、色んな話聞かせてね』

「お、おぅ!!」





人の噂も七十五日


(あの子知ってる??)(知ってる、知ってる!!)(ちょー綺麗な声の持ち主なんでしょ??)(一度でいいから話してみた〜い)



前の噂は消え、新たな噂が流れる

面倒なのはかわらない

けれど彼の面白い話しが聞ける

それだけで十分生きていける、なんてね(笑





 


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