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幼馴染の精一杯

  




「そう・・・か
ほれ、受け取りんしゃい」




鞄から可愛らしい包み紙の小さな箱を出し
彼女に手渡すと教室を出た。

ただただ彼女は手渡された箱を見つめ立ち尽くしていた。
その箱はバレンタインのお返しで少し高価そうな包みだった。


彼が教室を出たあと、彼女は後悔したことに気付いた。

頬には涙が伝っていたのだから。




『どうして胸が痛いかな??』



震えた声で



『仁王は何て答えて欲しかったの??』



問い掛けても返事は返ってはこなくて



『ねぇ、教えてよ・・・・・』



教室に私の声が溶けていった


彼の側に居るだけで良かった

少しでも話せるだけで良かった

微笑みかけてくれる彼が好きだった


だけどあの瞬間私は私自身で彼を突き放した

私のエゴによって・・・・


傷つく事を恐れ自分を守る事を優先した

そのため彼を傷付けた


彼を突き放した代償がこの胸の痛み




自分のした事を馬鹿らしく思いながら
手渡された箱を何となく開ける。

その中身を見た彼女は目を丸くし驚くと
鞄を持ち荒々しく扉を開ける。

すると彼女の足は自然と彼を追っていた。

息を切らしながらも必死に走る。

それほど時間は経っていなかったから直ぐ追いついた。

だけど手を伸ばしても人込みによって阻止される。




『・・・・・って、待って!!』



聞こえてるなら止まって



『待ってよ!!』



お願いだから



『雅治!!』



グイッ


『(え??)』


やっと来た

『ちょっ、どこ行くの!?』




彼女の声に反応し伸ばしていた手を掴むと
問い掛けには答えずそのまま手を引いて
人通りの少ない場所へ連れて行く。


そして壁へ押し付けると彼女に有無を言わせずキスをする。




『んっ!?』

「悠那」


『ま、待ってよ』(汗

「お前さんはいつまで俺を待たせる気じゃ??」


『だって、だって私は仁王の彼女じゃ・・・』




名字呼びが気に食わなかったのか強引に彼女の唇を塞ぐ。

長い長いキスのあと彼女は涙ぐみ耳まで赤くしていた。




『私、仁王の彼女じゃないのに』

「俺は一度も悠那を幼馴染みと思ったことはなか」


『じゃぁ、仁王にとって私って何なの??』

「大切な人」


『大切な人って??
ハッキリ言ってくれきゃ分からない』

「悠那・・・好いとうよ
俺と付き合って」




目尻に溜まった涙は瞼を閉じると頬を伝い流れ落ちた。

それが彼女の返事だったのか
合意を求めるように互いに唇を重ねた。





幼馴染みの精一杯


(仁王)("雅治"そう呼びんしゃい)(じゃぁ、雅治)(ん??)(順番、逆だよね??)(細かい事は気にしなさんな)



箱の中身は私の薬指にピッタリの指輪でした

彼氏、彼女の関係も嫌いじゃないかも





 


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