宝美「あんな言い方しなくてもいーのに」

紅心「それよりも早く冷やさないと!!」


黎「自分でやるからいい」




黎に手当をしようとしても
それを拒み自分でやると言い
直ぐにまた水道の方へ向かう。

水道場へ行くと一緒に持って来た
タオルを濡らし頬へと当てる。




黎「また、痣残るのかな・・・・」



ガサッ



「あ、あの!!」

黎「!?」




背後からの声にビックリした黎は
後ろに振り返ると身構えた。

そこにはテニス部の一員で
いつもよく寝ている彼だった。




黎「・・・・芥川・・だっけ??
俺に、何の用??」


芥「これ、・・・・使って!!」




明るく言う彼が差し出したのは
1枚の熱冷ましシート。

要らないと声に出そうとした時
強引に手に渡され彼は去って行く。


手の中に収まるそれを見つめ
小さく"ありがとう"と呟いた。

彼がどうしてこんな事をしたのか分からない。


だた、この時、彼を突き放していれば
彼を巻き込まずにすんでいたかもしれないのに・・・・。


早速、黎はポケットにしまっていた携帯を出し
暗い画面を鏡替わりにして頬に熱冷ましシートを貼り付ける。

不格好ながらも"ま、いっか"と呟き
またコートへと引き返す。




宝美「うは、何それ」(笑


ゴチンッ


宝美「痛っ!!」

黎「笑うからだ」


蝶花「大丈夫??」

黎「大丈夫だって」




蝶花は黎の頬をそっと触れ心配そうに言う。

"ありがとう"と付け加え
彼女の頭をポンポンと撫でる黎だった。



 
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