その頃・・・・




「遅い・・・・」




窓の外を見ながら器用にペンを回す蝶花。

昼休みから戻って来ない黎を少し心配している彼女。

彼が黎に言っていたように学校中では
その話題で持ち切りだった。

今も授業中だというのに勉強をそっちのけで
ザワザワと落ち着きが無い。


聞いた話しによると彼は不良少年らしい。

それに学校には滅多に顔を出さないが
男女共に人気がありファンクラブもあるらしい。

ついでに言えば彼は蝶花と黎と同じクラスだった。

しかも蝶花の斜め前に開いた席が彼の場所だ。

朝は来ていたはずだがもう彼は帰ったらしく
机には鞄も何も無かった。




蝶花「桜井、捺叶・・・・」




不思議な人物だと思いながら呟く蝶花。


授業も終わり間近になったころ生徒が話を聞かないため
先生は諦めたのか授業を放棄し雑談をしだす。

それを聞く生徒もいれば
まだ彼のことを話す生徒もいた。


最後のチャイムが鳴れば号令を掛けて部活へ行く準備をし始める。

テニス部のファンクラブの人達はというと
良い場所を取られまいと教室から急いで出て行った。


それを見計らったように姿を現す黎。




黎「お疲れ」(笑

蝶花「・・・・・・」(怒


黎「そう怒んなって
眠気に襲われたんだから仕方ないだろ??」

蝶花「で、眠れたの??」




まぁな、と曖昧に答える黎。

何かあったのかと聞こうとすると
紅心、宝美がやって来たので言葉を飲み込む蝶花。




宝美「部活行くよー!!」

「「行ってら〜」」

宝美「ちょっ、ハモって言わないでよぅ〜」(泣




テンションの高い宝美に
遠くを見つめるようにして手を振る3人。

すると慌て出す宝美を見て笑いながら冗談だと言う黎。




黎「ほら、行くぞ」

紅心「置いて行くわよ」


宝美「待ってよ〜」

蝶花「クスクス」




ヤル気は無いが一応部活に
顔を出すことにする彼女達。

そしてのんびりとした足取りで部活に向かう。



 
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