一度は放した手をまた彼の服を掴み引き止める。

いい加減、苛々してきた仁王は
彼女に顔を近付け睨んで言う。

たが、彼女は怯む事なく逆に口角を上げクスッと笑った。

暁からは死角になり藤胎の表情は見えていなかった。


その直後、藤胎の悲鳴を上げると仁王を強く押し返す。

彼の体は屋上を囲うフェンスにぶつかり
ガシャンッという大きな音とともに宙を舞った。

直ぐに駆け付け暁は手を伸ばすも
触れ合う事なく彼は遠ざかって行った。



藤「フフッ、彼、貴女の彼氏だったんでしょ??」

暁「・・まさ・・・・はる・・・」


藤「貴女がぜ〜んぶ悪いのよぉ
私から何もかも奪って行くんだからぁ〜」


暁「・・・・・・・」

藤「しつこくお願いしたら渋々私について来てくれたのぉ」


暁「・・・・・・・」

藤「あら、そんなにショックだったの??」(笑


暁「・・・・・・・」




藤胎の声なんて聞こえておらず放心状態の暁。


そこへ大きな音を聞き取った彼等は
勢いよく扉を開けて屋上へやってくる。

すると態度を変え涙を浮かべる彼女。




「「暁/恵苺!!?」」


藤「み、みんなぁ・・・・」(泣

大「恵苺!!何があったんだい!?」

藤「・・・に、仁王君がっ!!」




彼女の言葉と外れたフェンスを見て大体の状況を把握する。

心配でやって来た丸井に
近くを通り掛かった立海メンバーと彪と誇鶴。

暁に駆け寄ると肩を掴んで揺さぶる。




切「暁!!何があったんスか!?」

暁「・・・・・・・」


彪「真田、救急車呼べ」

真「あ、あぁ」

彪「柳、昴に連絡入れて下に向かわせろ」

柳「了解した」




慣れているかのように冷静にテキパキと指示をする。



 
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