もうすぐ六角が到着する時刻が近付いており
それをワクワクしながら建物の入口付近で待っている藤胎の姿があった。

そして彼女の両脇にはテニスボールの入った籠が置かれている。




藤「ウフフ、早く来ないかしら
六角も私のモノにするんだから」




顔をニヤけさせる藤胎。

海で一緒にはしゃいでいた立海の数人と
多少話をした程度で自分に気があると思い込んでいたのだ。

数分、入口付近で待機していた彼女は動き出す。

重い籠を二つも持ちいかにも頑張っているという姿を見せる為に。


丁度その頃、合宿場に着いた六角のメンバー。

先に着いていた彼等と同様に建物の大きさに驚いていた。

どんな合宿になるのか楽しみだと話していると
遠くから何かが倒れたような大きな音が聞えた。

音が聞えた方へ近付いて行くと、辺りにはボールが散らばり一人の女の子が倒れていた。




葵「大丈夫かい!?」


藤「あ、はい!!大丈夫ですよぉ」




彼の言葉に倒れていた彼女はバッと起き上がると笑顔で丁寧に答える。

すると彼等の頬は微かに赤くなっていた。


バラバラになったボールを籠に集める彼女。

それを見て彼等も手伝い始める。




藤「あ!?もしかして六角の皆さんですかぁ??」

葵「はい、僕が部長の葵です」

佐「君はマネージャー??」


藤「そうなんですぅ
後もう一人居るんですよぉ」


黒「だったら何で一人で二つも運ぶんだ??」



彼等の質問に"良い事言うじゃない"と内心思っていた。



藤「そ、それは・・・・・」

木「もしかしてマネージャーの仕事押し付けられてるの??」


藤「!!?そ、そんなことあるわけないよ」




目を泳がせ体は少し震わせる、
そして無理に笑顔を作るという演技を見せる。

すると彼等はあっさりと信じ込み
彼女がもう一人のマネージャーに苛められていると錯覚する。



 
[90/121]

[*←前] [次→#]
[目次へ][しおりを挟む]

[back]
[top]