妃奈鹿「さてと、そろそろ戻りましょ」
歩き出そうとする妃奈鹿の手を引き再度その場に留める。
仁「まだ、聞きたいんじゃけど」
妃奈鹿「何かしら??」
仁「祐季はその時の「覚えて無いわ」・・・え??」
妃奈鹿「だから"柊矢"と呼ばれたことも忘れて??」
仁「・・・・・・」
妃奈鹿「もう、わかったでしょ??祐季の過去も・・・・
これ以上、あの子に自分自身を傷つけてほしくないの」
"だから、祐季と深く関わらないで"
そう言うと掴まれていた手を解き、合宿場へと歩いて行く。
残されたのは仁王と妃奈鹿の言葉の意味。
仁「祐季の過去・・・・・か」
言うまでもなく、過去の出来事は想像できた。
理解できないのは、なぜ関わることがいけないのか、
なぜ祐季自身が祐季自身を傷つけるのか、ということ。
だた、過去を知ってしまったことで、
彼女へ抱いた想いをしばらくは押し殺した。
想いを伝えれば、辛くなるのは彼女だとわかったから。
[75/189]