ドアを開けた瞬間、はっきりとその人影を捉える彼等。




「「祐季っ!!」」




その呼びかけに振り返ると、儚く微笑む。

再び、進む方向へ向き直ると、彼等も止めた足を前へ進める。


今居る場所は屋上。

祐季の進む方向にはフェンス等の囲いは無かった。


そして、彼女の体は宙に舞おうとする。


次の瞬間、




パサッ



「「祐季っ!?」」


真「っ!!・・・・・・」




遠くの方から、何かが落ちた物音が聞こえてきた。

次には真田の叫ぶ声が聞こえる。




真「蓮二っ、仁王!!早く手伝え!!」

「「え・・・・??」」


真「祐季が落ちてしまうっ」


「「!!?」」




奥義の一つ、"雷"を使い瞬時に移動していた真田。

屋上から落ちそうになる祐季の手を掴むことができ、
引き上げるのを手伝うよう2人に指示する。


聞こえた物音とは、真田の帽子と男装のためにつけていた祐季の鬘だった。


やっとのことで引き上げると、安全な場所まで連れて行く。


冷や汗をかいた彼等は一息つくと、柳は妃奈鹿に連絡を入れる。

座り込む祐季には意識があり、ボーッとしていると頬に痛みが走る。




祐季「っ!?」

仁「真田っ!?」


真「何故、あんな真似をしたっ!?」


祐季「・・・・・・・」


真「命を粗末にするとは、たるんどる!!」



祐季「・・・・どうして、生きてるの??」


真「なっ!?」

柳「落ち着け、真田 (汗
今、妃奈鹿に連絡を取ったから、時期に来るだろう」


祐季「どう、してっ・・・・・」

仁「・・・・・・」




祐季の目は真田ではなく、仁王を映していた。


想いがこみ上げ、言葉が詰まり、その想いを声に出来ず、胸を抑える。

表情とは裏腹に、溢れる涙は止まらない。


そんな彼女に近づき、自身へ引き寄せる仁王。




祐季「ごめんなさいっ・・・・」

仁「なんで謝るんじゃ??」




貴方はもうどこにも居ないハズなのに

どうして、目の前に生きて居るのだろう

触れられるのだろう・・・・


あの時、私を庇って死んでしまったのに・・・・




祐季「無能な私が生き残って、貴方を・・・死なせてしまったから」

仁「・・・・・」



真「話が見えないのだが」(汗

柳「もしかして、仁王を誰かと重ねているのか??」



祐季「でも、貴方に会えてよかった」

仁「・・・・・・・」


祐季「ずっと、傍に居て・・・・」



大好きだよ、柊矢



仁「っ・・・」

「「しゅうや・・・??」」




祐季は仁王の頬を撫でると、気を失ったかのように眠りについた。



 
[184/189]

[*←前] [次→#]
[目次へ][しおりを挟む]

[back]
[top]