舞弥「ちょっ、祐季??」


妃奈鹿「はぁー、しばらくは立ち直りそうにないわね」

舞弥「で、でも、なんか視線が痛い気がする」(汗

静穏「ほっとけ、ほっとけ
片付けの続きするぞ、妃奈鹿」

妃奈鹿「そうね」




身動きが取れない、舞弥を放置し、残りの片付けをする。

室内に響かないように、声を押し殺し泣く祐季。

そんな彼女をみて困りながらも、優しく頭を撫でる舞弥。


その様子が気になって集中できない一部の彼等。




「「・・・・・・」」

静穏「練習しないなら、ここも片付けたいんだけど??」


越「あれ、どうにかなんないの??」

妃奈鹿「一々気にしてたらキリがないわよ??」

向「・・・・・・」


忍「岳人、顔が引きつっとるで」

向「うるさいっ!!」

忍「クスクス、ほんまオモロいわ」

向「笑うなよ!!」




彼等からの角度だと、祐季の顔は見えず、ただ単に抱きしめているようにしか見えなかった。

目のやり場に困る彼等は、完全に集中力が切れてしまっていた。

彼等の中には、その行動をよく思っていない者もいた。




跡「おい、祐季、茶化しに来たなら部屋に戻ってろ」

舞弥「ベー様、そんなに怒らなくても・・・」

跡「気が散って練習にならねぇんだよ、あいつ等がな」




気だるそうに言いながらも、2人を強引に引き離す。

そんなに力強く抱きしめていなかったのか、簡単に2人の間には距離ができる。

祐季の顔が見えた途端、驚きの表情を隠せなかった跡部。

彼女が泣いていたとは知らず、どういう状況かも分からず固まってしまった。

離れた舞弥を求めるように手を伸ばすも、ある人によって阻まれる。




パシッ



「「!?」」

祐季「っ!?」

忍「茶化すんはえぇけど、時と場合を考えや??」

妃奈鹿「忍足君・・・・」




舞弥と祐季の間に入り、祐季の伸ばしていた手を軽く払う。

払われた手は重力に逆らわずそのまま下ろされ、忍足のキツい一言でふと我に返ると慌てて涙を拭き取る。

そして、いつも通りの口調で謝る。




祐季「・・・邪魔して、悪かった」


舞弥「立てれる??」

祐季「大丈夫」




肩を貸そうと祐季の目線まで腰を落とすも、それを拒む祐季。

言葉では大丈夫と強がるも体が言う事をきかず、しばらく動けずにいた。


練習中の事もあり、彼等は祐季の体調が優れないということは理解していた。

彼女達のやり取りが気になるのか、手が止まり、集まり始める。




静穏「そんな状態でよく"大丈夫"って言えるな」

祐季「ハハッ、ホントだな」(苦笑


手「こんな状態で練習をさせていたのか、跡部??」


妃奈鹿「跡部君が強制参加させただけよ」

跡「・・・・・」

向「でも、自己管理ぐらい普通できるだろ??」

妃奈鹿「そうだけど・・・・」


祐季「妃奈鹿、・・・もう、いいよ」

妃奈鹿「もういいって、祐季・・・・??」



"お前の存在自体が迷惑"

"生きてるだけで邪魔って分からない??"




祐季「始めから、・・・邪魔なら、邪魔って言ってくれればいいのに」




発した声は小さく、彼等は聞き取れていなかった。

重い体を動かし立ち上がると、一瞬フラっとするも、自力でその場から離れていく。


今までの祐季の行動に、彼等は呆気にとられ、しばらく動けないでいた。




越「結局、何しに来たんスかね??」

手「さぁな」

不「それより妃奈鹿、大丈夫??」


妃奈鹿「え??」

柳「祐季に何か言われたのか??」

妃奈鹿「そうじゃないの、そうじゃないけど・・・・」


静穏「体調、悪いだけだといいけど・・・」

舞弥「時間も遅いし、片付けしよ??」



 
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