仁「・・・ハァー・・・・」
祐季の居る部屋の前で、ドアにもたれながら重い溜め息をつく。
目が覚めた彼女からは、いつもの拒否する言葉が発せられ、なぜか安心していた。
自分を"彼"として被せ見られることを覚悟していたから。
そこへ、練習を終えた仲間たちがやって来る。
切「あー!!仁王先輩、こんな所に居たんスか??」
丸「真田の奴、マジで怒ってたぜぃ??」(汗
柳生「もう、練習は終わりましたよ」
仁「あぁ」
短く気のない返事をすると、その場を離れる仁王。
丸「あいつ、どうしたんだ??」
柳生「悩み事でしょうか??」
切「仁王先輩が悩み事・・・って、なんか気持ち悪いっスね??」
丸「気持ち悪いって・・・」(汗
柳生「アハハ・・・・・」(苦笑
切「つーか、風呂入りてぇ」
丸「あ、俺も」
そんな会話をしていると、仁王がもたれていたドアが開く。
そこには、目を赤くした祐季の姿があった。
祐季「練習は??」
丸「もう、終わったぜ」
祐季「妃奈鹿達は??」
柳生「後片付けをしていますよ」
祐季「そ」
切「祐季、大丈夫っスか??体調、悪かったみたいだし・・・」
祐季「へーき、へーき」
切「・・・・・・」
"じゃ"と言うと、おぼつかない足取りで室内コートを目指す祐季。
そんな彼女を心配そうに見ていた切原は、声をかけるタイミングを失った。
丸「いーのか??声かけなくて」
切「っ!?な、何で俺が・・・」
丸「顔に書いてあるぜ」(笑
切「〜っ!!」
顔が赤くなるのを感じる切原。
それに対して、丸井はクスクス笑いながら切原をからかっていた。
でも、追いかけることはできなかった。
ドアから出てきたとき、目を合わせることなく、
自分達との距離を置き、関わるなと態度で訴えていたから。
柳生「それにしても彼女、顔色があまり良くありませんでしたが・・・」
丸「本人がへーきって言ってんだし、大丈夫だろ??」
妃奈鹿達のもとへ足を運ぶ途中、行き違う彼等から声をかけられる。
"大丈夫??"と聞かれるから"平気"だと答える祐季。
その答えが、逆に彼等を心配させていた。
妃奈鹿達が居る、練習場所にたどり着くと、
まだ、全員が部屋に戻っているわけではなく、自主練習をする姿もあった。
祐季の姿に誰も気づかず、声を発すると、一斉に動きを止め、彼女を見る。
祐季「妃奈鹿・・・・」
「「!!?」」
妃奈鹿「祐季!?」
舞弥「もう、大丈夫なの??」
静穏「青ざめた顔して大丈夫な訳ないだろ??」
舞弥「そーだよね」(汗
祐季の声で妃奈鹿達は、彼女の周りに集まる。
すると、いきなり座り込んだので、あわあわとしながら"大丈夫??"と聞く舞弥。
察しろというように、上から目線で物を言う静穏。
彼女達を目の前にして、不安な気持ちを隠すことができず、
一番近くに居た舞弥を引っ張り抱きしめていた。
[180/189]