反発する力もなく、妃奈鹿の声に答えるのが精一杯の祐季。

まだ、氷帝の全員に"女"ということがバレていない為、"生理痛"という言葉が出せないでいた。




妃奈鹿「立てそう??」

祐季「っ・・・ムリ」



「お前等、何やってんだ??」



妃奈鹿「跡部君!?」

祐季「・・・・(ゲッ)」(汗




なかなか部室に戻ってこない2人を探しに来た跡部。




跡「おい、今、嫌な顔したな??」

祐季「別に」




荷物もまとめ終わり、あとは帰るだけだったが、
静穏に探して来いと強引に跡部に頼み、部室から追い出されていたのだ。


祐季にとっては今の状態を一番見られたくない相手だった。

言葉にしなくとも表情に"嫌"という感情が丸出しになっていた。


それを察しながらも跡部にお願いをする妃奈鹿。




妃奈鹿「丁度よかった
ねぇ、この子今動けないの」

祐季「ちょっ、妃奈鹿!?」(汗


妃奈鹿「連れて行ってくれない??」


跡「・・・・あぁ、いいぜ」




一瞬、妃奈鹿の言葉に?を浮かべるが了承する跡部。

近づく彼を一回は拒むが、些細な抵抗も虚しく軽々と地面から抱きかかえられる。




祐季「下ろせっ」

跡「じゃ、置いて帰ってもいいんだな??」

祐季「っ!?・・・・・・」


妃奈鹿「(祐季の扱い、上手くなったわね)」




跡部に置いていくと言われ先ほどの態度とは違い
首を横に振りながら彼にしがみつく祐季。

彼女の行動に驚き顔を赤らませ戸惑う。


空気を呼んでなのかはわからないが、荷物を取りに行くと言いその場から離れる妃奈鹿。

置いてけぼりにされた2人は無言になるとしばらくして跡部から口を開く。




跡「お前、腹でも下したか」(笑

祐季「失礼なっ!!」



跡「部活中も辛いの隠したつもりでいたんだろ??
全部顔に出てんだよ」


祐季「そんなはずはない」



跡「・・・・体調悪いなら、悪いって言え」

祐季「・・・・・」


跡「言わねぇーとわかんねぇーぜ」


祐季「・・・・・ちょっと、疲れてただけだ
たいしたことない」




強がってか最後に"寝る"と一言言うと気絶したかのように一瞬にして眠りにつく。

そんな彼女を見て苦笑いする跡部だった。




ずっと見てたんだ

辛そうなのぐらい直ぐにわかる

必死にそれを隠そうとしていたのも・・・




夢を見ているのか、彼女の目尻からは涙が零れ落ちる。

そして、彼の服をギュッと掴むと




祐季「・・・ごめんっ・・なさい・・・・」




小さな声で、精一杯に謝る彼女。


その一言は誰に向けられたものかは分からなかった。




 
[170/189]

[*←前] [次→#]
[目次へ][しおりを挟む]

[back]
[top]