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跡「いい加減起きやがれ、祐季!!」


ガバッ


祐季「ハァッ・・・・ハァ・・・・あ・・とべ・・・??」




起き上がった祐季を見るなり跡部の体は一瞬だけ止まる。

俯いていたため分からなかったが彼の額からは汗が流れていたのだ。


潤んだ目をギュッと瞑ると涙が流れるがそれは跡部には見えてなかった。




跡「起きたならさっさと部活に来いよ」


祐季「・・・や・・・・・ぃ・・でッ!!」




ガタンッと椅子の倒れる音がして振り返ろうとするが
祐季が跡部の後から抱き付かれる。




祐季「・・・・・いかないッ・・で」




さっきは椅子の音で聞こえなかったがこの距離ならはっきりと聞えた。



置いていかないで、と。



巻き付いてる腕を放すと向きを変え向かい合うようにして彼女を抱き締める。




跡「置いて行きやしねぇーよ」




たった一言だけどそれだけで安心出来た。

するとまた睡魔が襲い瞼が閉じていく。


そんな彼女をほっとく訳にもいかず仕方無く横抱きで連れて行く。


でもコートへ戻るなり遅い!!との文句が妃奈鹿の口から出る。

既に休憩は終わっており彼等は練習を再開していた。




跡「どういうことか説明しろ」

妃奈鹿「何を説明するのかしら??」

跡「なぜ、今まで黙っていた」


妃奈鹿「だから何を??」

跡「こいつが"女"ってことだ」




ベンチに寝させた彼女を指差しながら言う。

彼等は練習に集中しているため、跡部との会話は聞こえていなかった。




妃奈鹿「祐季がそう望んだからよ
でも、どうしてバレたの??」

跡「こいつに抱き付かれたからだ」

妃奈鹿「・・・・・・」

跡「あと、"置いていくな"って・・・・・」


妃奈鹿「そう・・・・・」

跡「・・・・・・」




それだけ伝えると、跡部も練習に戻る。

ベンチに横たわる祐季は静かに眠る。




ただ寝ているだけだと思ったのに・・・・


ねぇ祐季、またあの夢を見たの??


私はいつでも貴女の側に居るから

置いていったりしないから・・・・




 
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