※主人公は妖怪設定です
これは拓人sideです





〜夢の中〜


俺は小さい頃、樹海の中で迷子になってしまった
怖くて怖くて泣き続けた。もしかしたらあの時はもう声が枯れてしまうくらいに泣いていたかもしれない…
其処は誰も近寄らない場所だったからもちろん、助けも来なかった


「うわぁ―――――んっ、こわいよぉ―――――!!!!」


俺はあの時、もう駄目かと思った…だけど


「誰だ、我の眠りの妨げをする奴は……」


ビックリした…でかい石の上に人が立っていたからだ。だけど、耳と四本の尾が生えていた


「うぅっ…だれぇ?」
「我か?我はなまえ。この樹海に住む妖怪だ……お前は?」
「グスッ、しんどうたくと…4さい……」
「神童拓人…良い名前だな((微笑」


なまえと名乗った妖怪は、綺麗な笑みを俺に向けてくれた。暖かい微笑みだった


「で、拓人と言ったな。どうしてこの樹海にいる?此処には来るなと親には言われなかったのか?」


確かに言われた。俺は両親に、『樹海には化け物が住んでいるから、絶対に言っちゃ駄目よ』と言われた…だけど、あの時の俺は両親のその言葉に行きたくなったのだ
「いわれた…だから、すごくきになってあるいていたら、おうちにかえれなくなっちゃって…((ジワッ」
「泣くな、男だろう!!帰りの道は我が教えてやるから、泣くんじゃない!!!」
「!!っうん!!!ありがとう、なまえ!!((ニコッ」
「綺麗な笑顔だな…それでこそ拓人だ!!!」


俺はなまえに道を教えてもらいながら、一緒に下まで下りた


「拓人、もうこの樹海には来るな。此処はお前が入って良い場所ではない」
「…ヤダ、ヤダよ!なまえともっとおはなししたい!!いっしょにいたいよぉ―!うわぁ―――――んっ!!!」


俺はまた、泣き出した。親に会えないからじゃない…もう、なまえに会えない事が嫌だったからだ…


「拓人……なら来ても良い。ただし、毎日は来るな…週に1度位なら良いだろう」
「うえっ…グスッ…まいにちは、ダメ…なの?」
「毎日だと親が心配する。これは約束だ…良いな?」
「…わかった!ママたちにもめいわくかけたくないし、なまえにもめいわくをかけたくない……やくそく!!」
「待ってるぞ、拓人((ニコッ」


俺はなまえと【指切りげんまん】をし、家に帰った…


あれからだろうか…俺は人間ではなく、“妖怪”に恋をしてしまった
なまえには週に1度という約束だったから、その約束は守った。だけど俺は、小学生に上がって進級するごとに行く回数が減り、4年生になった頃…樹海に行かなくなった……
なまえを忘れていた訳じゃない。ただ、友達付き合いが多くなっただけ…
ずっとなまえの居る樹海に行きたかった…だけど行けなかった、友達に避けられそうで…
ごめんな…なまえ………




「拓人………」



―学校―
「おはよう、神童」
「あぁ、おはよう霧野。今日は早いな…嫌な夢でも見たか?」
「いや?ただ、今日はいつもより早く起きたからな!!」
「そうか、それは良い事だ」


子供の頃の夢を見たせいで、早く起きたなんて言えない…


―サッカー棟―
「キャプテン、知ってましたか!?あの樹海には妖怪が住んでるんですって!!」
「…いきなりどうしたんだ?」
「学校中噂なんですよ!!でも樹海に入ったら2度と帰ってこれないとか…」
「天馬、信助…一旦落ち着け」


噂になるとこの2人は本当にテンションが上がるな……


「だから今日、サッカー部の皆で樹海に行って確かめようという話になったんです♪」
「面白そうだな!!なぁ、神童!……神童?」
「((ハッ 悪い、考え事をしていた…」
「そうか?なら良いんだけど…」


なまえに会える!!だけど、なまえの存在を皆が知ったらどうなるんだ!?
もしかしたら…樹海が無くなってなまえが居なくなるかもしれない!!そんなのは絶対に嫌だ!!!


「じゃあ決定ですね!放課後、部活を妖怪探しに変更しましょう!!」
「「「おうっ!!!!!!!」」」


―放課後―
俺たちは妖怪が居ると噂されている樹海に向かった
まだ明るかったから足元は見えるが、ほんの暗さでもこの場所は足元が見えなくなってしまう


「何処に居るのかな、妖怪は…」
「つか妖怪探して何になるの、天馬君?」
「妖怪と友達になるんだよ!!」
「キラキラした目で言ってきたよ、この子!!!剣城君、どうにかしてよ〜〜」
「こうなったら俺にはどうする事も出来ない…」


天馬の奴、張り切ってるな……
妖怪を探している内にすっかり暗くなってしまった……!!この場所は…


「!!どうした、神童?ずっとあの大きな石を見て??」
「…いや、何でもない」
「そろそろ帰りましょうか、暗くなってきましたし」
「貴様ら、此処に何しに来た…」
「「「!!!!!!!???????」」」
「よ、妖怪―――――――!!!」
「黙れ…此処はお前達の様な奴らが入っていい場所ではない…早く樹海から去れ」


昔より少し大きくなったけど、あの時と変わらない…腰から膝くらいまで長くなった銀髪、鋭く光る赤い右目と黄色い左目……間違いない、大好きななまえだ!!なまえが俺の目の前にいる!!


「!!お主、何処かで見た事のある顔だな。昔、会った事がある様な……気のせいか?」
「キャプテン?」
「神童、この妖怪に会った事があるのか?」


会った事があるなんてもんじゃない…ずっと俺と一緒に遊んでたんだよ


「っなまえ…」
「!!!」


俺はいつの間にか、涙を流していた…


「なまえ、会いたかった。ずっと…」
「……!!拓人か…」
「4年間来なくてごめん。俺、なまえを一度も忘れた事なんて無かった。でも、友達付き合いが多くなっていく内に来れなくなって…っごめん!!」


ギュウッ


「!!!」


気づいた時は、俺はなまえの胸の中にいた


「お前が来なくてつまらなかった……ずっと待っていたのに来なかった故、もう忘れてしまったのだと思った……だが、来てくれた…会いたかった、拓人」
「っ……うわぁ――――――――っ!!!!」


俺はなまえの優しい言葉に、囁きに涙が止まらず、なまえにしがみつき声を上げて泣いた
なまえは俺が泣き止むまでずっと頭を優しく撫でていてくれた……



「まさかこの妖怪と知り合いだったなんてな!」


俺は涙が止まったので、なまえから離れた…少し名残り惜しかったけど……


「霧野、お前の言い方…何かなまえに失礼じゃないか;;?」
「別に気にしておらん。拓人に会えたからな!!」
「ちゅーかさ、2人ってどんな関係なの?」


関係?友達、なのかな……俺はなまえが本気で好きだけど、なまえは俺の事をどう思っているかなんて聞いた事が無かった
俺が気持ちを伝えたら、今の時間が壊れそうで怖いから……
もし、そうじゃなかったとしてもなまえを追い詰める形になるかもしれない
だから俺は………


「なまえとは友達だ」


こう言うしか無いんだ……



「そうだったのか?我はてっきりお前とは気持ちが通じ合ってるんだと思っていたが」
「……え?」
「我は拓人が好きだが?」


俺は耳を疑った……なまえからは1度も『好き』だなんて言われた事が無かったから…なまえは俺の事を友達だと思ってると…そう、自分で考えていたから……


「ほ、本当?俺の事、好きって……」
「分からなかったのか?まあ、我も口に出して言わなかったからな……」
「それって、友達として?それとも1人の男として?」


俺は知りたかった。自分が友情と恋愛のどっちで好きだと言われたのかを…


「そんなの決まっておる……拓人、我はお前を1人の男として好きだ」
「堂々と告白///!?」
「狩屋、煩いぞ…((ベシッ (マ「イテッ!!」」


なまえが、本気で俺を……


ボフッ

「!!…((クスッ 泣き虫は変わらんみたいだな」


俺はなまえの胸に飛び込み、声を殺しながら泣いた………
片思いだと思っていた恋が、両思いだと気付いて嬉しくて嬉しくて…
俺はもっとなまえの事を好きになった気がしたんだ


「グスッ…夢じゃない……やっと、なまえと両思いになれたんだ」
「良かったな、神童!!!」
「ああ!!」


俺はもう、なまえから離れない……
例え親に樹海に行っているがばれたとしても、友達から拒絶されたとしても……


「なまえ…死ぬまでずっと一緒にいような!!!」
「当たり前だ。我はお前と永遠に生き続けるさ…」


もし、俺が先に死んでも……また、君を好きになるよ…








[年齢も性別も関係ない!!]





(明日から毎日来るな、なまえ///!!)
(良いが…親を心配させないようにするんだぞ、拓人((撫で撫で)
(うん♪(なまえの手、落ち着くな♪)
((俺/僕たち空気ですか;;;;))
〜END〜

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