それからはと言うと、フェイはまだ兎には戻らないので一緒に学校に行くようになった
毎日毎日天馬とのバトルに手を焼くが、それはそれで楽しい
だけど疲れる;;
一番怖い事は……フェイがいつ、動物の姿に戻るか
もし、学校にいる途中に戻ってしまったら…皆はどんな反応をするんだろう…
俺はまだ知らなかった…
不安になっていた事が現実に起きようとしていた事を…



〜放課後〜
「やっと放課後だ〜〜〜〜」
「なまえ、僕先にサッカー棟に行ってるね!!」
「分かった―――」
「((ニコッ」


フェイはサッカー棟が気に入ったのか、先に行くようになった


「楽しそうですね、フェイ君」
「!!輝か……ああ、楽しそうで良かったよ((微笑」
「…なまえ君、君は何を恐れているの?」
「!!!」


どうして輝に分かったんだ!?もしかして、顔に出ていたのか?


「この前なまえ君、『嫌だな…』って言ったでしょ?あれからフェイ君を心配してる目で見てるけど、僕たちの事…怖がってるようにも見えるよ?」
「っ!!」
「言いたくないなら言わなくて良いよ?でもね、誰もフェイ君を苛めたりしないから…大丈夫だよ?」


輝は心配してくれた。だけど、俺が心配しているのは苛めじゃないんだ…
本当の事が言えなくてごめんな…輝


「とりあえず、部活に行こうか!!」
「……そうだな」


―サッカー棟―
ウィンッ
「「こんにちは――」」
「なまえ、ねぇどういう事!?」


いきなり天馬が俺の肩を掴んできた。何の事だ?


「意味が分からないんだけど;;詳しく説明してくれ」
「フェイが兎になったんだよ!!!」
「………えっ」


俺は天馬が指を指した方を見ると、そこにはフェイが今日着ていた服があった
服が落ちている所から離れた場所に……フェイがいた。体を震わしながら…


「よく分からなかったが、何となく落ち着かせようと手を差し伸ばしたら噛まれてしまった…」
「だ、大丈夫ですかキャプテン!?」
「ああ、大丈夫だ((微笑」


俺はどうしてフェイが噛むのか知っている。皆が怖いんだ……
普通に接していた人なのに、自分が動物に戻ってしまったから……


「もしかして、なまえ君が心配していたのって……」
「っフェイ!!」


俺はフェイが嫌われるんじゃないかと思い、フェイの傍に行き思い切り抱きしめた


「ごめんな、俺が不甲斐ないばかりにこんな事になってしまって……」


フェイの震えが落ち着いてきた…もちろん、フェイに語りかけても今は兎…言葉は返ってこない。だけど、良いんだ……例え言葉が返ってこなくとも、俺はフェイを見捨てない……見捨てる訳ない!!


「何か裏切られた気分…」
「まさか兎だったなんて、知りませんでした…」
「信頼して損した…」


やっぱり、想像していた言葉が返ってきた……フェイは今言った言葉が理解できたのだろう…涙を流していた
俺はそれを見て、何かが切れた


ドカッ


「「「!!!!!!!!!!!!!」」」


気づいた時にはもう、俺は先輩を殴っていた…


「フェイの事を何も知らない癖に…フェイの痛みも知らない癖に勝手な事言うんじゃねーよ!!」
「先輩を殴ったら駄目だよ、なまえ!!」
「なまえ君落ち着いて!!」


俺は天馬と輝に止められたがそんなの関係ない…


「俺だって思ってたよ、本当にフェイを連れてきて良かったのかって!!だけど兎にいつか戻るって分かってたから、戻る前にフェイに楽しい思い出を作らせようとしたんだ!!なのに好き勝手フェイを傷つけて…」
「なまえ……」
「フェイは外の世界を知らなかった。だから教えたかった!人間がどんな風に1日を過ごしてるのか見せたかった!それはいけない事なのかよ!!!」


ガブッ


「いっ!!!…フェイ?」


俺はフェイに手を噛まれていた。フェイの目がまるで、『落ち着いて』…そう言っているみたいに見えた


「…ごめんな、フェイ。少し、言い過ぎたかもしれないな…((撫で撫で」


いつものように優しく、フェイの頭を撫でてやると気持ち良さそうに目を細めながら、手にすり寄ってきた
フェイに怒られちゃうなんてな……俺、飼い主失格だな…


「…殴ってしまって、すいませんでした。でも、フェイを馬鹿にするのはもう…止めてください。お願いします((ペコッ」
「……俺も言い過ぎた…悪かったな」
「ちゅーか、なまえの怒った顔怖かった;;ごめん!!」
「すいませんでした……まさかなまえ君がフェイ君の事をそこまで考えていたなんて、知りませんでした」
「良かったね、なまえ!!!」
「ああ!!……って、今の声………」


後ろを振り向いて、声のした足元を見ると、そこには………
人間の姿になったフェイが俺の足元に引っ付いていた


「フェイ!?」
「気が付いたら人間になってた♪((スリスリ」
「分かったから、足に頬ずりしない!!そして早く服着ろ!!!」
「着方が分からない。なまえ、やって!!!」
「あ―――、もう!!!」


俺はフェイに服を着させるため、部室に向かった。フェイを担いで…



「フェイがまた抜け駆けした―――!!!」
「天馬、少しは許してあげようよ;;」
「でも家ではなまえと二人きりなんだよ!?俺もなまえとイチャつきたいのに〜〜」
「何だかなまえ君自身が、フェイ君の特等席みたいですね♪」
「輝、それ言わないで!!!」
「「「アハハハハッ!!!!!!!!!!!!」」」


「なぁ、フェイ…」
「何、なまえ?」
「俺、これまでお前の飼い主としてやっていけてたのかな……馬鹿だからさ、すぐ感情移入しちゃうんだよ!!フェイに怒られるなんて、飼い主失格だよな」
「そんな事ない!!!」


フェイはそう言って、抱きついてきた


「!!!」
「僕、嬉しかったよ。なまえが僕の為に先輩を怒ってくれて……だから、なまえは飼い主失格じゃないよ!」
「フェイ……」
「なまえは僕の大好きなご主人様なんだからね!!!」


フェイのその言葉だけで俺は嬉しかった…


「……ありがとう、フェイ」
「ねぇ、なまえ…」
「何だ??」


フェイは、満天の笑みで……


「これからも、僕をなまえの傍に置いて下さい!!((ニコッ」


俺の答えはただ一つ……


「当たり前だ!!」


こちらこそ、これからも俺の傍に居てくれよな、フェイ!!!






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