不意打ちなんてズルい
不意打ちなんてズルい
「ケイト、もう少し落ち着いて食べられないのですか?」 「っさいなー…」
任務から帰ってきたら、レムからです、とトレイに食事を渡された。そういえば、出掛ける前に帰ったら美味しいご飯を振る舞うね!とレムに言われていたっけ? 生憎さっき入れ替わりでレムが任務に着いてしまったらしく、食事を作ってトレイに託したそうだ。どこまでも律儀なやつ…
「レムって本当に料理上手いわよねぇ」 「話は終わってませんよ」 「…トレイと食べるとご飯が不味くなる」 「ケイト!」
冗談なのになーと思いながら、最後の一口をかきこんだ。心の中でご馳走さまを言うと、トレイはこちらを見て睨んでいた。
「美味しく食べられればそれでいいじゃん」 「女性がご飯をかきこむのは如何なものかと言っているんです」 「差別はんたーい」
トレイの小言はいつもの事で、アタシが聞かないのもいつもの事で。今日もそうなるんだろうなって思ってた…なのに。
「ケイト…」 「な、なによっ」
急にトレイが真面目な声で名を呼ぶから思わず身構えてしまった。するとトレイはゆっくりと顔を近付けてきた。突然のことにドキドキして身体が動かない。 キスされる…っ!咄嗟にそう考えてぎゅっと目を閉じれば、口元にティッシュの感触。
「へ…」 「なに間抜けな声を出してるんですか。かきこむから口元が汚れてしまっているんですよ」
アタシの口元を拭いながらため息をつくトレイ。それを見てアタシの頬が紅くなるのを感じる。 なにを期待していたのだろう…一瞬でもキスされると考えた自分が馬鹿馬鹿しい。
「ケイト、顔に出過ぎです」 「え…っ?んっ…」
トレイに何が?と聞き返そうとしたら、唇に感触。それがトレイからのキスだと気がついたのは、彼が唇を離して悪戯っ子のような目でこちらを見る視線に気付いてからだった。
「そんなに残念そうな顔をしていたら、口付けたくなりました」
(ば、ばっかじゃないの!) (満更でもなさそうですね、もう一度します?)
------------------------------ とくめい様のリクエスト、トレケイでした。 珍しく押せ押せなトレイ… リクエストありがとうございました!
20120321
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