キミと生きたい

※哉太吸血鬼パロ
※閲覧注意です!






その日は朝からフラフラした。多分血が足りてないんだなとは何となく分かったけど、哉太に血を下さいなんて言うのは死んでも嫌だから我慢した。
で、そんな風にしてやり過ごした放課後に、彼はあの端正な顔に恐ろしいほどに似合う笑みを浮かべて私の元にやって来た。

「なに」
「顔真っ青だぞ」

無理すんなよ、なんて優しい言葉をかけてくるけど、口元は笑ってる。もう私が欲しているモノを彼は見抜いていて、私が乞うのを待ってるんだ…なんて嫌なやつ。

「気のせいだと思うけど、他に用がないなら帰る…」
「待て」

立ち去ろうとした私の手首を付かんで、哉太は首元を指した。あぁもう…大嫌いだ。

「欲しいんだろ?やるよ」
「要らないし欲しくない」
「無理すんなって…」

そう言うと、哉太は自分の爪で首を少し引っ掻いた。ガリッて音がして、血の匂いに敏感な私の鼻に鉄の匂いが香る。

「っばか!なにやって…」
「ほら…こうしたら、嫌でも欲しくなるだろ」
「っ!」

掴まれた手首を振りほどいて、哉太の首に腕を回して自分へと引き寄せた。あぁ…なんて美味しそう…考えたら止まらなくて、哉太の首から少しだけ滲んだ血を舌でペロリと舐める。

哉太の味だ…

最もそんな無節操に誰のものでも啜っているわけじゃないから、他の人のがどんな味かは知らないんだけど。
一度舐めたらもう後に退く考えをもつ脳は無くて、私は哉太の首に思い切り噛み付いた。

「…っ、いってぇ…」

小さく唸る哉太の声も何処か遠くに聴こえる。
じゅるじゅると血を啜る音だけが聴覚を支配して、もう何かを考えるのが億劫にすらなる。

「………っく」

私がごくりと血を飲み干せば、押し殺したような声が漏れて、それがなんだか艶めかしくていけない。もっともっとっておねだりしたくなる。
勢いよく噛み付いたからか、首筋を伝う血液を舌でツーッと舐めていたら、哉太がびくりと跳ねた。

「なに?吸われて感じた?」
「ば…ばばばかやろう!そんなんじゃ、ねーよっ」
「そっか」

口元に付いた血を腕でゴシゴシ拭いながら、少しだけ紅くなった哉太を見つめる。…あれ?なにか私、大切なこと…

「っ!ごめん、私また…っ」

吸ってしまった…貴方の血液。謝れば気にするなと笑う哉太。全然笑えないよ…
哉太の命は短い。多分もう長くない。それは本人も分かってるみたいで、更に言えばこの吸血行為がそれを加速させてることも分かってる。それでも哉太は私が衝動に身を任せるのを止めないし、最近では先程のように自分で煽る始末だ。

「ダメだよ私にもう血吸わせちゃ」

すると彼はシニカルに微笑んでこういった。






キミと生きたい

(俺はもう長くないから
せめてこの血液だけはお前と…
そう思ったんだ)

------------------------------------------

20120415




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -