ホワイトデーのお返し〜七海哉太の場合〜
*七海哉太の場合*
「かーなた?何してるの?」
「っうわ!びっくりさせんなよ!」
びっくりさせるというか…。私の机の前を行ったり来たりしてる哉太の行動にびっくりしたんだけど。
そう言うと怒られるので、なにかあった?と尋ねると、哉太は顔を赤らめながら口を開いた。
「べ、別に大したことじゃねぇよ」
「なんで動揺…」
「うるせぇ!…はっ、いや…そうじゃなくて」
いまいち歯切れの悪い哉太の言葉。私は首を傾げながら彼に変わったところがないか観察する。
…ぁ、わかった…かも?
「ふぅん…」
「な…なんだよ!」
「ううん、ねぇ哉太。私お腹が空いちゃったな?何か食べるものない?」
そう尋ねれば、哉太の顔がパァァと明るくなった。やっぱり当たってたか。
「ったく…しょ、しょーがねぇなぁ。ほら、これ食えよ!」
「いいの?ありがとう、哉太っ」
「た…たまたま持ってただけだからな!べ…べべつにお前の為に持ってきたんじゃねぇぞ!」
「はいはい」
真っ赤な顔を横目に、私は朝ご飯をしっかり食べてしまったことを少し悔いるのでした。
(不器用な愛も、不器用な優しさも、全部全部貴方だから愛しい)