ホワイトデーのお返し〜天羽翼の場合〜
*天羽翼の場合*
「つ…翼くん?これはなに?」
多分私の声は裏返ってる。でもそれを気にする様子もなく、翼くんはぬははと笑った。
「見て見てっ!君のために頑張ったんだ!」
「う、うん。それはわかったんだけど」
私の前には翼くんが作ってくれた発明品。いつもと少し違うのは、その発明品が…なんというか凄くファンシーな事くらい。
「キミが前に言ってただろ?ぬいぐるみが動いたら可愛いだろうなって」
「…言ったかも?」
「ぬはは!だから俺、キミのために作ってみたんだ!」
誇らしげに発明品の電源を入れると、ロボットとは思えないくらい愛らしい動きをするそれ。
「凄い!可愛いね〜!」
「でしょでしょ?」
翼くんにしては珍しく成功…なのかな?そう油断していた私が悪かった。
『爆破マデ…後…10…9…』
「っちょ、翼くん?!」
「ぬぁ〜!逃げるのだ〜!」
私の手を引いてラボから慌てて逃げ出す翼くん。相変わらずの結果に、私は思わず吹き出してしまった。
(特別な日じゃなくていいよ、握られた手の温もりが嬉しいから)