好きかも、しれない






この感情の名前を
僕はまだ知らない











「でね、錫也がね…」

俺の隣で楽しそうに東月の話をする姫は凄く楽しそう。俺は姫が興味のある話をしてくれるのは好きだし、姫が楽しそうに話をする様子を見るのがもっと好きだから、いつも頷いて話を聞いていた。

「そうそう、哉太ったら…」

クラスも違う姫だから、どうしても天文科の幼馴染み達の話題が多いのは仕方のない事。そう割りきっていたけれど。

「四季くん?ごめん…つまらなかった?」
「…え?」

不安そうな姫の顔。つまらなさそうな顔をしてしまっていただろうか。日頃から無欲な顔とはよく言われるけど、姫だけは俺の表情の変化に敏感で。そう言えば考え事をしていてほとんど話を聞いていなかった。

「ごめん…つまらなくはない…」
「そう、なんか上の空みたいだったから。どうかした?悩み事?」

姫に見つめられて鼓動が速まるのを感じた。なんだろう、この気持ち。さっきとはまた違った感情に支配される。今まで感じたことのない気持ち、温かくて柔らかい…そんな。

「し、四季くんっ」

気が付いたら、目の前の姫を抱きしめていた。頭を撫でてもらったりするのはいつも自分だから、姫を抱きしめるなんて自分でも驚いている。

「抱きしめたくなった…、ダメ…?」
「だ、ダメじゃないよ!」
「…よかった」

ぎゅっと抱きしめると姫の香りが鼻孔を擽った。優しい匂い、安心して身を委ねてしまいそうな…

「…ねむい…」
「もう、四季くんったら」

子供のみたい、とクスクス笑われた。姫が嬉しそうな笑顔を浮かべているのを見てほっとした。姫には笑っていて欲しいから。でも誰にでもそんな笑顔は振り撒いて欲しくない。姫が東月達の話をしている時に沸き上がった感情の意味がやっとわかった。

「姫…」
「なぁに?」
「俺だけ見てて」

きょとんと目を丸くする姫。唐突すぎただろうか?でもこれしか言葉が見つからなかった。誰かにそんな可愛い笑顔は見せないで、妬いてしまうから。
動き始めた想い、この感情は多分…









(僕の心に小さく芽生えた恋心
嫉妬心で枯れてしまわないように
大切に育てよう)

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蓮華しゃんリクでした〜っ!
アフターの四季くんルートが楽しみですっ。
彼絶対恋愛には疎いと思うの。

20120301




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