キミの心に触れさせて






真っ白な世界に
少しずつ色がついた






課題の為の資料を探しに図書室に来たら姫先輩の姿。熱心に取り組んでいるのか、こちらには気付かずにペンを走らせている。姫先輩の真剣な眼差しが好きだ。その瞳で見つめられたら、思わず息をのんでしまう。

「先輩、お疲れ様です」

声を掛けるのは控えようかとも思ったのだけど、学年が離れている僕らにとって偶然出逢えるのはまたとないチャンス。隣に座ればやんわりと微笑んでくれた。

「梓くんも勉強?」
「僕は課題です。資料を探しに来たら先輩がいるのが見えたので」

ちらりと姫先輩の手元を見る。ノートには綺麗な字が並んでいて、時折カラフルに線が引かれたり女の子らしい雰囲気が醸し出されていた。

「綺麗なノートですね」
「ぁ、これは錫也のなの」

姫先輩は苦笑しながら、私のはこっち、と利き手側にあるノートを引っ張り見せてくれた。殆ど白紙のそれ。

「先輩、授業中に何してるんですか?」
「た、たまたまこの授業は寝ちゃってただけだよ!」

他の授業はちゃんとノートとってるから、と慌てる先輩。僕はそれを怪訝そうに見つめた。別に先輩がノートをとっていないからじゃない。

「授業中に居眠りなんて、誰かに寝顔を見られたらどうするんです?」
「ぁ…わ、梓くんっ」

姫先輩の顎をくいっと持ち上げてこちらを向かせる。じっと見つめれば、恥ずかしいのか頬が紅潮していくのが見てとれた。

「先輩の寝顔を見てもいいのは僕だけです」
「は、はい…」
「気を付けてくださいね、先輩は可愛いんだから」

彼女は気付いていない。いつだって姫先輩を狙う目があることに。同じ学年なら、いつも先輩の傍に居られたら僕が守ってあげるのに、それが叶わなくて悔しい。いくら天才と言われようとも、年の差を埋められないのは歯痒かった。

「じゃあ、僕は行きます。勉強頑張ってください」

醜い嫉妬を知られたくなくて、先輩から離れようと席を立ったら制服の袖を引かれた。びっくりして振り向くと、姫先輩が頬を染めながら僕を夢中にさせるあの目をしていた。

「寝ないように、するから…っ!」

その言葉に僕はキョトンとした後に吹き出してしまった。この人はなんて純粋な人なのだろう。本当に授業中に寝てしまった事に僕が怒っているだけだと思っている。確かに、実際迂闊な行動だとは思ったけど、それより不毛な嫉妬の方が大きいのが事実だ。

「な、なんで笑うの!」
「なんでもありません、気にしないで下さい」

腑に落ちない表情の姫先輩。僕はそんな先輩に優しくキスをした。








(そうすれば、僕のこの
醜い心も変わるかもしれない)

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リクエストの梓くんっ!
夏未プレイだから恋人の距離が分からないよorz
いつも余裕綽々だけど、実は手に入らないものに嫉妬してそうなイメージ…。

20120228




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